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高校1年になりました10


ピコーンピコーン。


『いらっしゃいませー!』


コンビニのバイトを初めて数ヶ月。
季節は冬になった。


「アイス買おうぜ、アイス!」「…今は冬ですが」「冬だろうがなんだろうがアイスは旨いだろ!」「大ちゃ…青峰くんて馬鹿だよね」「んだと!さつき!!」「うるさいのだよ!!」「どうでもいいからまいう棒買ってきていい?」

あ、また来た。
最近、普通の部活動生は来なくなるような遅い時間になると、色とりどりの髪色をした後輩たちが来るようになった。

アイスはさすがに寒いんじゃないのかな。
ぼんやりとそんな事を考えていると、その集団がレジへとやってきた。


「あー…足おめぇ…虹村主将マジ鬼だな」

「鬼って…そんな事言っているのがバレたら怒られますよ」

「全くなのだよ」

『ふふ』

「「「「「??」」」」」

『あ、ごめんなさいっ』


渡された商品をレジに通していると聞こえてきた会話。
そのなかで出された知り合いの名前に思わず笑ってしまうと、驚いたようにこちらを見られた。
しまった。
慌てて謝ると桃色の髪の子が不思議そうに首を傾げた。


「…あの…?」

『いや、その…虹村くんの名前が出てきたからつい…』

「虹村主将とお知り合いなんですか?」

『え!?…い、いつからいたのか聞いてもいい?君…』


「最初からいました」と答えた水色の髪の男の子。
「気づかなくてごめんね」と謝ると、「気にしないで下さい」と返してくれた。


『知ってるよ。私も帝光生だったからね』

「…先輩なのですか?」

『まぁね』

「主将とは仲はいいんですか?」

『うん。メールとかしてるよ。
…そっかぁ、虹村くんは鬼なのかぁ」


「今度聞いてみようかな」とつい意地悪心が芽生えて言うと、青い髪の色黒の男の子の顔色が悪くなった。


「はっ!?ちょ、え!?」

『…ふふ、ごめんごめん。冗談よ』


最後のお菓子を袋に詰めてからそう言うと、青い髪の男の子はあからさまに安心したように肩を落とした。
どうやら、虹村くんが怖いの本当らしい。

紫の髪の大きな子に大量のまいう棒が入った袋を渡してからクスクスと笑っていると、青髪くんにジトリと睨まれた。


『ご、ごめんね?』

「…言わないよな??」

『言わないよ』

「…ならいいけど…」

「青峰、目上の人には敬語を使え」


どこかまだムスッとしている青髪くんを怒る緑の髪の眼鏡の男の子。
その様子に苦笑いしてから、そうだとレジのそばにあるスチーマーから肉まんを四個、餡まんを一個取り出した。
それを袋に纏めて、「はい」と桃色の髪の女の子に渡すとキョトンとした顔で見られた。
どうしよう、この子とてつもない美人ちゃんだ。


『笑ったお詫びです』

「ええ!?そ、そんな…申し訳ないです!!」

『いいの、いいの。それにほら、最近よくここに来てくれるよね?毎日遅くまで頑張っている君たちへのご褒美みたいなものだよ』


「君はこっちね」と一つだけ別けて袋に入れた餡まんを紫の子に渡すと、一瞬この子にもキョトンとされてから「ありがとー」と嬉しそうに受け取ってくれた。
背は高いけれど、この子可愛い。

それからまた困った顔をする美少女ちゃんにニッコリと笑うと、諦めてくれたのか「ありがとうございます」とはにかまれた。
ヤバい。美少女ヤバい可愛い。


『そっちには4つ入ってるから、1人一個ずつ食べてね』

「…あの、ありがとうございます。苗字さん



あれ?なんで名前分かったんだろう。…ああ、ネームプレートか。
納得してどういたしましてと笑うと「ありがとうございます」と今度は緑の子からもお礼を言われた。

いい子達だなぁ、と思っていると先ほどの青髪の男の子が早速袋から肉まんを取り出していた。
「大ちゃん!!お礼!!」と美少女が怒ると「おう!サンキュ!!」とキラキラした少年らしい笑顔を返された。
もぅその笑顔がみれただけでお姉さんは満足です。それに機嫌も治してくれたようだし。
この子にも「どういたしまして」と返すと、青髪くんは肉まんを食べ始めた。
出来れば店から出て食べて欲しかったけれど、他のお客さんもいないし多目に見てあげた。


「あの、お名前を聞いてもいいですか?」

『ああ、えっと苗字名前です』

「わたし、桃井さつきって言います」

「僕は黒子テツヤです」

「…緑間真太郎です」


「ほら!むっくんと大ちゃ…青峰くんも!!」と夢中で肉まんと餡まんを頬張る二人を促した桃井さん。
「青峰大輝な!」「紫原敦ねー」と他の三人に比べると雑な自己紹介をしてきた二人に苦笑いしながら「よろしくね」と返していると、残りの三人の子達が呆れたように息をはいていた。


『君たちも肉まん食べなさいね』

「はい、いただきます」

『あっ…出来れば店内はやめてね』

「大丈夫です。あの二人と違って僕たちは常識がありますから」

『あ、あはは』


可愛らしい見た目なのだけど、随分辛辣な物言いの黒子くんに苦笑いを返したとき、店内にある時計に目がいった。


『もぅこんな時間だね。そろそろ帰りな』

「え?」

『桃井さんもいるんだし、それにまだ中学生なんだから。早く帰りなさい』


「バイバイ」と手をふると予想に反して素直に頷いた五人はそれぞれ挨拶を返して店から出ていった。

最近の子はスレてる子が多いと思っていたけれど、この子達はいい子で良かった。

少しだけ頬を緩ませたとき、ふと鮮やか赤色の髪の彼を思い出した。
そういえば、征十郎くんも帝光のバスケ部だったな。
今度聞いてみようかな、と思いながら新しい肉まんを補充し始めた。

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