夢小説 完結 | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

中学3年になりました


昨晩、可愛い可愛い清志くんと幸くんからのメールがあったことで絶好調に機嫌のいい私は先生から頼まれたプリントを保健室へ持っていっている。

ちなみに、皆さんお気づきだろうか、
宮地くんの呼び方が宮地くんから清志くんにグレードアップしているのを。
言い出したのは清志くんで「…幸って奴が名前で呼ばれてるなら、俺も名前で呼べよ…」と眉を下げた真っ赤な顔で頼まれては断ることなんて頭に思い浮かぶわけがない。
あのときカメラを持っていなかった自分はなんてアホなのだろう。次はカメラを常備しよう。

などと考えていると保健室が見えてきた。
さっさと先生にプリントを渡してしまおうと思ったけれど、


『…あれ?』


ガチャガチャと数回ドアを動かしてみるけれど動く気配はない。
鍵がしまっているのだ。


『はぁ、ウソでしょ…』


どうしたものか…とため息をついたとき、後ろに誰かが立っているのに気づいた。


『…えっと…君は…』

「あ…保健室、あいてないんすかね?」

『あ、うん、今は留守みたい』

「…あー…そうなんですか…」


困ったように眉を下げた体育服のままの男の子はどうやら一年生らしい。
そういえば、さっきの時間は一年生が体育をしていたな、と考えていると男の子の手についている赤色が目に入った。


『ちょ、それ…』

「え?あー…さっきの時間擦りむいたんすけど…
先生いねぇなら仕方ねぇし…まぁ大丈夫だと思うんで、」


「それじゃ」と背を向けて行こうとした体育少年。
いやいやいやいや、


『ちょっと待って』

「?なんすか?」

『これで手のひら押さえてて』

「え?」


ダラダラと血を流したままの男の子にハンカチを差し出すと、男の子は目を見開いてから首を横にふった。
多分血で汚れるとか考えてくれているのだろうけど、それよりも彼の手の方が気になるので強引にそれを押し付けた。


「いっ!」

『ご、ごめんね…でも血がスッゴい出てたから…
ハンカチで押さえてちゃんとここで待っててね』

「え?あ、ちょ!」


ちょっと!と引き止めるような彼の声が聞こえたが、聞こえないふりをさせてもらい足早に向かったのは職員室。

とりあえず鍵をあけてもらえれば、応急措置くらい私もできる。
いつもよりは早いスピードで歩いていると、「あ、廊下を走っちゃダメよー」と優しげに注意する声が聞こえたのですみません、と謝ろうとしたとき、ふと今の声の主に足をとめる。


「あら?苗字さん?珍しいわね、あなたが廊下を走ったりするなんて」

『せ、先生!ちょうど良かったです』


え?と首を傾げたのはうちの学校の中でも若い方に分類されるおっとりした性格で男子生徒からの人気が高い保健医だ。


『あの実はかくかくしかじかで…』


ことの経緯を先生に話すと、「分かったわ、ありがとう」と微笑んだ先生。
ああ、こんな美人な保健の先生なんて、私もいっそ怪我をして優しく手当てしてもらいたいな、なんて下らないことを考えている間に、先生が背を向けていた。

そこではっとして、自分の手にあるプリントに気づいて慌ててそれを先生に渡すと、受け取ってくれるとき、また柔らかな笑みをいただきました。

prev next