中学生になりました
神奈川から戻ってきた私は、帝光中というバスケの強豪中に入学した。
初めてその真っ白な制服に袖を通したとき、おじさんとおばさんはもぅやめてくれとい言いたくなるくらい写真を撮った。
神奈川から引っ越してきた私はもちろん知り合いなんていなくて、最初こそ1人だったけど、伊達に2X才も生きていない。
前の世界で育て上げたコミュニケーション能力でなんとかお友達と呼べる存在を作れた。
部活に関しては迷った結果、結局帰宅部に落ち着いてしまった。
友達達はもちろん青春を謳歌するために部活に入ったので、帰りはいつも1人で今日もそれは変わらず、現在私は帰宅中である。
ブラブラと歩いていると、「にゃー」となんとも可愛らしい鳴き声が聞こえてきた。
鳴き声の方を見ると、公園に1人の男の子がいた。
「ちっちっち、」
しゃがんで子猫にてを伸ばす少年は綺麗な蜂蜜色の髪をしている。
近くのベンチに黒いランドセルが見えたので、おそらく小学生なのだろう。
子猫は伸ばされた手にゆっくり近づくと、その体をすりよせた。
そんな子猫に少年は頬を緩ませていた。
『可愛いね』
「!?」
背後から声をかけたからか、男の子はばっと振り替えって驚いた顔で私を見た。
「っ、な、なんだよ!!
なんか文句あんのかよ!」
『え?…文句っていうか…』
「その猫可愛いなって」そう言って少年の隣に座って子猫を撫でると少年はいまだに驚いたように私を見ている。
横に並ぶまで気づかなかったけれど、この少年は小学生にしてはなかなか背が高いようだ。
顔は童顔なのに、体格だけはいいなんて、ある意味ギャップ萌えだ。
可愛いなぁ、なんて思いながら猫をなで続けていると、黙っていた少年がやっと口を開いた。
「…変、じゃないのかよ、」
『?何が?』
「…男が、猫なんか可愛がって…」
唇を尖らしてそんなことを言う少年に、そういうことかと笑う。
『変じゃないよ、子猫って誰から見ても可愛いしね
それに、こうして世話してあげるなんて、むしろ』
「優しいって思うな」と猫とは反対に警戒心丸出しにしていた少年に言うと、少年は目を見開いてから、少しだけ頬を緩めた。
さっきまで仏頂面だったせいか、その表情は年相応で、とても可愛らしい。
これは幸くんに次ぐ可愛いさだな。
なんて一人で結論付けていると、少年が「なぁ、」と話しかけてきた。
「あんた、名前は?」
『苗字名前だよ、君は?』
「宮地清志」
「よろしくね」と笑いかけると、宮地くんは初めて歯を見せて笑い返してくれたのだった。
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