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case19 洛山高校


とにかく必要なのは情報。
情報収集と言えば聞き込み!
というわけで、まだあまり話したことのない人たちに昼休憩の間に話しかけてみることに。

先ずは主人公の学校でもある誠凛。
プッツン眼鏡主将、日向順平に話を聞いた所、原作でもあったあの練習試合で少し話したことがある程度で彼とはもちろん、他の子達ともほとんど関わりはないらしい。
ただ、相田リコとはその時連絡先を交換したらしく、時々メールのやり取りをしていたとか。

続いて秀徳。
ここで話したことがはいのは大坪泰介と木村信介の二人。
話しかけてみた所、「苗字とはほとんど初対面だが?」「ああ、そうだな」とまあ、予想通りの返しを頂いた。
うん、よかった。

次は桐皇。
諏佐佳典は言わずもがなセーフ。
若松孝輔と桜井良は話しかけた所、それぞれ反応は違うもののまあ大丈夫だろう。

続いて陽泉。
ここの主将のモアラは…もう置いておこう。
福井健介とは試合のときに少し話したことがあるようだけど、それ以上は何もなし。
劉とは話したことすらなし。

そして最後に洛山。
実はここが一番恐ろしい。


「あ?俺とあんたの関わり?」

『う、うん。あるかな?』

「さあな。俺はないが、玲央や小太郎はあるんじゃないか?」

『あー…葉山くんかあ…』


彼とはもう話したけれど、うん、アウトでしたね。
ということは残りは実渕玲央と黛千尋の二人。
まあ、この二人もシロっぽいけど、とりあえず話は聞こうか。黛千尋は見つけ出せるか分からないけど。
キョロキョロと目当ての人物を探していると、「何か探し物かしら?」と独特の口調をしたよく通る低い声がした。


『あっ…えっと…』

「あら、ごめんなさい。実渕玲央、洛山高校の2年よ」

『あ、初めまして実渕…さん…でいいのかな?』


少し首を傾げて尋ねると、実渕玲央がふっと笑みを溢した。
おいおい、美人だなあ。
ほうっとつい見惚れているとクスリと笑う実渕玲央の白い指が髪を掬った。
…て、え?


『…あ、あの…実渕さん…?』

「やあね実渕さんだなんて。玲央でいいわよ、そう呼んで貰ってたし。ああ、あと…“初めまして”も間違いね」


ア……アウトでしたあああああ!!
油断するんじゃなかった!!
ニッコリと綺麗に笑う実渕玲央に思わず一歩下がると、その間を埋めるように実渕玲央も一歩踏み出す。
それを何度か繰り返しているうちに、いつの間にか背中には壁。
誰か通り抜けフープ持ってきて。


「そんなにこわがらなくていいのよ?あんまり可愛い反応されちゃうと…」


“襲いたく、なるだろ?”


なんでこんなときだけ口調が変わるんですか!
冷や汗をダラダラと流しながら実渕玲央を見つめていると、形のいい唇が弧を描いて近づいてきた。
逃げよう。
今ならまだ逃げれる。
スルリと実渕玲央の横をすり抜けようとしたとき、幸か不幸か「おい」とやけに落ち着いた、でも怒気を含んだ声に動きをとめた。


「…てめえ何してんだ、実渕」

「…あら、ちーちゃんじゃない。あなたこそ、見て分からない?野暮って言葉を知らないのかしら?」


色のない瞳を細めながら実渕玲央を睨むのは、自称新型シックスマンの黛千尋だった。
二人の間に火花が見えるのは気のせいだろうか。
とにかく実渕玲央から離れようと足を踏み出すと、そんな私に気づいたのか黛千尋の手が腕を掴んできた。


『っわっ!ちょ、あ、あの!』

「…大丈夫か?実渕の野郎に何もされてないか?」

『だ、大丈夫!!大丈夫ですか!!』


だから、あなたも離れて下さい!!
ググッと近付けられる顔。
黛千尋もイケメンだったんですね!別に知らなくて良かったけど!!
できるだけ背中をそらして顔を離そうと努力していると、また腕を捕まれて引っ張られた。
今度は実渕玲央ですか!?
もう文句の1つでも言ってやろうと引っ張った犯人を見ると。


『っ!?あ、赤司!…くん…』

「………」


なんと腕を掴んでいたのは実渕玲央ではなく、オヤコロ赤司様だった。
でも、前に会ったときと何処か雰囲気が違う。
黛千尋と実渕玲央を写すその瞳の色が、オッドアイに見えるのは嘘ですよね?

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