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43話 セッター 菅原


ピー!

この笛の音はタイムアウトの音ではなかった。
11対20、青城リード。
セッターが、交代された。

影山くんが焦っているのはそのトスからしても一目瞭然だった。だから、彼を落ち着かせるためにも交代して一度下げたんだと思う。


「なぁ今入った烏野のセッターって…」

「2番…あ、3年だ」

「ゲェー!じゃあ入りたての天才1年にスタメン獲られたんだ!?」


「きっついねー…かわいそー…」なんて少し離れた席から聞こえてきて、ギュッと眉を寄せた。


『(スガさん…)』


久しぶり見たコートに立つスガさんの背中。
可哀想なんかじゃない。スガさんはチームのための犠牲だなんて思ってもいないし、思われたくもないと思う。


“頑張るよ、おれ”


以前スガさんが言ったその言葉通り。
スガさんはコートの雰囲気を変えた。


「うは!ストレート打ってくるって読んでたのかな!?」

「な!うまいことやったな!相手のスパイクの直前でブロッカーの位置を…スイッチ!」

『…凄い、ですね』


交代早々に決めたブロック。
スガさんは月島くんを褒めているけれど、これはスガさんの作戦だろう。

なんだか嬉しくなって頬を緩めていると、嶋田さんがクスリと笑った。


「やるなぁ菅原くんも」

『はい。スガさんも烏野のセッターですから』



その後も、セッタースガさんでゲームを進めていったのだけれど、追い付くことはできず1セット目は青城に。でも、流れは悪くない。次はとれる。

ジッと下を見ているとポンっと肩を叩かれた。


「プレーも応援も力みすぎはよくないよ」

『嶋田さん…』

「そうそう、大丈夫だって!」


ニッと笑ってくれる滝ノ上さんに笑顔を溢したところで笛の音がなった。2セット目が始まったのだ。

セッターはスガさんのままで影山くんはベンチスタート。それはいいのだけれど、


『(ローテ少し回してる…。及川さんのサーブ対策かな)』


思った通り、2セット目2対2のとき及川さんのサーブが回ってきた。そのとき、烏野のレシーブ体制はいつもと違う。


『(大地さん…西谷…)』


うちで守備力トップ2の二人。
確かに下手に人を増やすよりは少数精鋭にした方がいいのかもしれない、でもその分一人あたりの守備範囲は広がる。

及川さんの打ったボールは凄い勢いで大地さんの方へ。



「っあがった!!!」

『ナイスあがり!!!』


大地さんのあげたボールをスガさんが田中へ。
ドガガっと相手のブロックにあたりながらも相手コートへ落ちたボール。


『っ!!よしっっ!!』


思わずガッツポーズをすると、隣の嶋田さんと目があって笑いあった。

2セット目。出だしは最高だ。

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