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37話 西谷 は 守護神


選手たちがコートに入って行ったあと、急いで二階席に上がると、聞こえるのは凄まじい程の伊達工の応援。
強いところは応援も凄いので、それに飲まれてしまうチームも多々あるのだ。

大丈夫だろうか、と公式ウォーミングアップを始める皆を見ると、やっぱり表情が硬い。何か緊張を解すきっかけがあれば、と眉を寄せていると、ノヤにレシーブの番が回ってきている。


「んローリングッ…サンダアアアアアアッアゲインッ!!」

『!?』


思わず口を開けたまま呆けてしまう。
それは私だけではなく、他の皆も同じなようで、中には伊達工の人にも驚いている人がいる。

「ノヤっさんナイスレシーブ!キレッキレじゃねーか、技名以外」「技名もキレキレだろうが!!」「アゲインも教えてええ!!!」「前のと何が違うんですか?」
と騒ぎ始めた皆を見ながらあっ、と小さく息をはく。さすがノヤだ。


「よっしゃあ!!心配することなんか何も無え!!皆前だけ見てけよオ!!背中は、俺が護ってやるぜ」

『…ふふ、』


なんてノヤらしいのだろう。
ノヤがしたのはただの回転レシーブだった、けどそれは皆の緊張を解くには十分なもの。
それに加えてさっきの台詞。
こんなに頼もしい“守護神”そうそういない。

すっかりいつも通りの空気に戻った皆にほっとしていると、日向くんと話していたノヤがこっちを向いた。
ナイス、そんな意味を込めて笑って答えるとノヤは拳を向けてきたので、あたしも同じように返した。

さあ、鉄壁を破るときがきた。


「お願いしアース!!」


烏野高校第二回が今、幕を開けた。

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