25話 田中と西谷 の 尋問
「「で?」」
音駒の見送りを終えた私達は反省と分析、それに練習のために学校に戻ってきた。コーチに言われた通りに全てをこなしたときには、外は真っ暗になっていた。
さぁ、帰ろうとしていると、もちろん許されるわけもなく田中とノヤによって部室に強制送還。
そして冒頭にいたる。
『…だから、あれは、鉄朗の悪ふざけで』
「わわわわわ悪ふざけでき、き、キスなんかするか!!」
「…実際、付き合ってんのかよ?」
急に真面目なトーンになって聞いてきたノヤに首をふると、「そっか」とどこか安心したように2人は肩をおろした。
「でも、キスしてたんですよね?」
「俺は見てませんけど」といってくる月島くん。
その言葉にその場にいた全員の視線がこちらに向けられた。
そろそろ助けて欲しいと三年生の方を見ると、大地さんと旭さんは苦笑いで潔子さんは面白そうにこちらを見ている。
スガさんにいたっては、なぜだか機嫌がわるそうだ。
『…だから、あれは、その…何て言うか…』
「えっと…」と上手く答えられずにいると、目の前の田中とノヤの顔が不機嫌そのものになっていく。
うーん、と唸っていると、意外な所から助け船。
「…大地さん、そろそろ帰った方が…」
『え、縁下!』
「…そうだな、一先ず今日はその辺にしてやれ、田中、西谷、」
『大地さん!!』
縁下に続いて大地さんにまで言われたら、流石の田中とノヤの二人も押し黙った。
良かった、これで帰れるとホッとしていると、「ちょっと待って」とまさかのスガさんからの呼び掛けに動きをとめる。
『スガさん?』
「…俺、送るよ」
『え…でも、合宿で疲れてるのに』
「いいから。…いいかな?清水?」
スガさんの言葉に「うん、」と頷いた潔子さん。
それを見たスガさんは「ありがとう」と言うやいなや私の腕を掴んで部室を出た。
『え?あ、み、皆さんお疲れ様でした!』
去り際になんとか挨拶をすると、何故か三年生たちは苦笑いをしていた。
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