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21話 音駒 と 練習試合


音駒戦前日。
ようやく与えられたユニフォームにはしゃぐ日向くんを見ながら、可愛いなー、と癒されたのは良かった。
そう、それは別に良かったのだけれど、その日の眠りは決して安眠とはいかなかった。
なぜなら、どっかの黒尾さんが私を抱えたまま寝るとか言い出したせいだ。
おかげで心臓の音がうるさくてちゃんとした睡眠をとれなかったのだ。


『…眠い…』

「なんだよ?まだ俺と寝たかったのか?」

『…鉄朗、なんかその脳内お花畑思考マジでやめてくれないかな?』


はぁとため息をつく私とそれを見て笑う鉄朗が向かうのは今日の練習試合の会場でもある烏野総合運動公園の球技場だ。


『あれ?音駒高校、もう着いてるよ?』

「お、マジか」


「はよーっす」と、なんともテキトーな挨拶をしながら同じ赤いジャージの軍団に加わる鉄朗。
そんな鉄朗を目でおうと目立つプリン頭を見つけて「あ、」と声をあげると、音駒の人達の視線がこちらに向いた、かと思うと「はわぁ!?」と1人の男がよくわからない叫び声を出した。


「び、び、びじ!か、かわ」

「…名前?」

『やっぱり!研磨くんだ!久しぶり!』


「元気だった?」と研磨くんに近寄ると、先ほどよくわからない叫び声をあげた男の子が今度は酷くショックを受けた顔した。


「け、研磨にじょじょ女性の知り合いだと!?」

「…クロの従姉妹で、烏野のマネージャーだよ」

「な、なに!?きゃ、キャプテンのい、従姉妹様だと!?」


真っ赤な顔をした男の子を見ながら、自分のチームの坊主頭を思い浮かべていると、「「「ちわーっす!」」」と元気な挨拶と共に黒い集団が現れた。


「あ、名前!!お前だけなんで現地集合なんだよ!」

『ああ、ちょっとね』

「田中!整列だ!」


噂をすれば影、というけれど、まさに思い浮かべていた人物が現れて苦笑いしていると、大地さんから声をかけられた田中はすぐさま皆に加わった。


『潔子さん!おはようございます!』

「おはよ」


今日も変わらずお美しい潔子さんに挨拶をしたところで「お願いしあーす!」「しあーす!」と両チームの挨拶が聞こえてきたので、潔子さんと顔を見合わせて笑ってから、準備のために体育館に向かうことにした。
その途中でまたまたさっきの男の子と目があったの、き潔子さんと二人で軽く頭を下げると、何故か逃げられてしまった。

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