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2話 影山 の 疑問


私が学校に復帰てから一週間がたった。
一年生の名前もしっかり覚えてそれなりに仲良くなってはいる、と、思っているのだけれど。


『…影山くん、私の顔になんかついてる?』

「あ、いや、…別に…」


そう、影山くん、彼は何故か私をじっと見ていることがあるのだ。
別に睨んでいるわけではないのだけど、それだけ見られればさすがに気になる。


『私、何かしたかな?』

「え?」

『いや、影山くん、何か言いたそうな顔してたから…』


回りでは、私達の様子を見守るように他の部員の皆が練習後のストレッチをしてい?。
「言いたい事があるなら言っていいよ」と笑いかけると、影山くんは少し迷ったように視線をさ迷わせたあと、ゆっくりと口を開いた。


「苗字先輩って、南三中の苗字名前と同じ人、ですか?」

『そうだよ、よく知ってるね』


「影山くんに知られてるなんて光栄だな」と冗談交じりで言うと、影山くんは顔を赤らめて吃り始めた。


「い、いや、その…女子と会場が一緒だったときにたまたま見つけて…。それでその…初めてだったんです。あんなに…あんなに楽しそうにプレーしてる人みるの」


影山くんの言葉に若干驚きつつ、未だに真っ赤な顔をした影山くんに笑いかけた。


『…ありがとう』


「い、いえ…」とさらに赤くなって答えた影山くんはまだ何か言いたそうだった。


「それで、その…なんで最後の大会に出てなかったんですか?」

「ばっ!!か、影山!!」

田中が慌てて影山くんを止めようと出てきたけれど、大丈夫というように田中に視線を向けると田中は渋々下がった。そんなに心配しなくてもいいのに。
不思議そうに見つめてくる影山くんと目を合わせると、左膝が少し疼いた気がした。


『…けが、したの、』

「…え…」

『もう、完全に治ることはないみたいでね。中2の冬、私、マネージャーになったんだ』

「っ、」


「その怪我が理由で今まで休んでたんだ」と笑っていうと、申し訳なさそうに眉を下げ影山くんが、「す、すみません!」と慌てて謝ってきた。そんな彼に「気にしないで」と声をかけると、頭を90度に下げた彼がゆっくりと顔をあげた。


『確かに、バレーが嫌になったりして落ち込んでた時期もあったけど…今があるから、それでいいの。
ここの、烏野の皆に出会って、マネージャーに誘ってもらって、皆と一緒に夢を目指せて、今、幸せなんだ』


「だからね、」と付け加えるように言うと、少しうつ向き気味だった影山くんの顔が上がった。


『影山くんが烏野を強くしてくれるの、楽しみにしてるよ』


「頑張ってね」と、笑うと影山くんは面食らった顔をしたあと、小さく笑って「はい、」と頷いた。

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