「僕を呼びましたか?」
「……うひゃー」
「…………」
千紗は感嘆の声を漏らし、慈海は声を失った。
「いやー、噂には聞いてたけど、実際に見たのは初めてだわ。凄いなこのギャラリー」
「しかも……女子だらけだね」
「まぁ、バスケ部にはデルモがいるらしいし?」
「そうなの?」
「情報の上ではね。私はそういうファッションだのの写真は好きじゃないからどうでもいいけど」
出入口周辺は出待ちの女子集団が群がっていて、とてもじゃないが近付けない。
千紗の話によると、今年から在学の現役モデルが入部したことでギャラリーが増え、見学が規制されたらしい。マネージャーの募集も締め切るという徹底ぶりだそうだ。
「あーん、これじゃ撮影なんかさせてもらえないじゃーん!」
千紗がカメラを握りしめながら地団駄を踏む。
彼女が「バスケ部行こう」と言うまですっかり忘れていたのだが、そういえば慈海は部員に見学に来ないかと誘われていたことを思い出した。
「そういえば、バスケ部の男の子に見学誘われてたんだ、私」
「え、うそ!?誰!?」
「え、…………なんか、存在感の薄い子?」
そういえば、彼は二年だと言っていたから、千紗なら知っているかもしれない。
千紗は「バスケ部……存在感薄い……」とブツブツと呟きながら考え込んだ。恐らく人物を脳内検索しているのだろう。
「……あ、そうだ。確か、黒子君って言ってた。黒子テツヤ君」
「僕を呼びましたか?」
「わっ!?」
「ぎゃッ!!」
急に二人の背後で声が聞こえ、驚きで二人とも女子らしからぬ悲鳴を上げた。因みに「ギャッ!!」が慈海である。
「ちょっと黒子君……脅かさないでよ……慈海ちゃん凄い声出しちゃったじゃん」
「すみません」
どうやら千紗と黒子は知り合いだったらしく、千紗が驚きではね上がった心臓を押さえながら怒った。
「それにしても慈海ちゃん……っ、『ギャッ!』ってっ、『ギャッ!』って、……顔に似合わずやば……っ、あははっ」
「千紗ちゃん!!」
「ごめんってー」
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まだ黒子しか出ていない……だと……?
三秒で思いついたわりに千紗が凄く気に入ってしまった自分がいます。高校編まで続けられたら千紗は出し続けたいなー。
高尾あたりと絡めたら楽しそう←
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