夢に触れる幸福
(幸福で5のお題)
君の夢。
俺の夢。
願いはひとつ。
共に居る事…。
夢に触れる幸福「新ちゃん、だーい好き」
「うん、俺もなまえの事好きだよ」
二人で肩を寄せ合って、縁側に腰掛ける。上から注ぐ太陽の光が、俺達を少しずつ暖める。
それはいつもの昼下がりの行為。
会話に取り留めはなく、俺はただなまえの紡ぐ言葉に思った通り返していけばイイだけの話。
「新ちゃんの夢は、強くなるコト?」
「そういうなまえの夢は、俺と幸せになる事?」
「うん!…って、今質問してるのは私なんだから、新ちゃんが先に答えなくちゃダメ!」
「ハイハイ」
太陽の柔らかい陽射しの下で、なまえは俺の肩に頭を預けて目をつぶった。新ちゃんの夢はなんですかぁ?と、呟いてまた肩に擦り寄る。
「俺の夢は、なまえと一緒に幸せになる事だョ」
「私と一緒に?」
「うん、なまえと一緒に」
一緒に、と嬉しそうに微笑むなまえに、俺もつられて笑みを零す。
そんなほっこりとした空間で、なまえは何かに気付いたようにハッと声をあげた。
「……ねぇねぇ、新ちゃん!」
「なに?」
「夢って簡単だね」
「…はぁ??」
突然の言葉。と言っても、なまえはいつも突然話を繰り出すんだけど。
なまえはいつも以上に明るい笑顔で俺に言った。
「だって今、一緒に居るんだよ、私も新ちゃんも。私達、二人で居ると幸せで、一緒に居るから夢叶っちゃったんじゃない?」
そう笑って、俺の肩に擦り寄る。
気付いちゃったよ!と自画自賛するなまえに、俺は溜め息を吐いた。
「なまえ、なんか話が噛み合ってないんだけど」
「新ちゃんの夢、叶って良かったね〜!」
「聞いてる?……あぁもうイイや。」
なまえが好きなように喋るのは、いつもの事なんだから、気にしちゃいけない。
まぁ、その自由奔放さ加減が、惚れた理由のひとつだったりするんだけど。
「じゃあ新ちゃん、新しい夢はなんですかー?」
「新しい夢〜?そうだな…」
ゆっくりなまえの手を握って、俺は下に足を下ろした。
そこに下駄を置いてはないので当然裸足なんだけど、なまえも俺の後に着いて、土の上に足を付ける。
「夢…、…夢ねぇ」
「うんうん」
「……結婚とか?」
「え、誰と??」
「…なまえ以外の誰とするのサ」
「あっ、私以外とは誰ともしないで!」
慌てて腕を振るなまえを抱き抱えて、俺はくるりとその場で回った。
なまえはきゃあきゃあ言いながら俺の首にしがみつく。
その姿が、なんとも可愛らしい。
「あ。新ちゃんっ、ちょっと降ろして!」
「ハイハイ、…よいしょ」
恐かったのかと思って俺はなまえを地面に降ろす。しかし、トン、と足が地に着いた瞬間、なまえは少し跳びはねて
「…んっ…」
俺に口付けた。
「な…っ…どうしたのなまえ?!」
「幸せに、なれますよーに!……って思いまして。」
「…願掛け?」
「えへー、そうです!」
ホントにもう…、感情のままに行動する子だネ。
なまえが顔を赤く染めて、俺に抱き着いてくる。
「俺達の夢、絶対叶うヨ。」
そう耳元で囁いて、俺もなまえを抱きしめた。
end
夢は夢じゃない。
甘い一時って素敵。[ 2/20 ][*prev] [next#]
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