StP side:Y

07



「気持ちいい癖に」


 僕は苦笑しながらも夏弥の性器を指で弾く。それだけで夏弥の躯は反応して、先走りをこぼした。
 それを掬って、ぬるぬるそれを性器の先端に塗りつけ、滑らせる。

「ああぁっ、ああッ、ゃあ…ッ!」

 指の動きに逐一翻弄されて、夏弥はいやらしい声を上げ続けた。

 きゅう、と睾丸が挙上する。そろそろ限界らしい。
 こんなものかな、と僕も思って──なんといっても、散々エッチした後だ──、目隠しをしたままの夏弥に微笑む。

「イきそうだね、夏弥。オネダリしてごらん? イかせてって」
「ッゃだ…っ!」

 僕の腕を振り切って、夏弥が僕にしがみついてくる。強過ぎる快感にしゃくり上げながらも、夏弥は僕にこう言った。




「だっこ…っ」




「抱っこ?」

 思いがけないオネダリに、僕は唖然とする。
 押し倒された状態から、馬乗りになっている僕の首にしがみついているものだから、夏弥の背は布団から浮いていて、僕はそっとその背に腕を回す。

 『抱き締められながらイきたい』という人間が少なからずいるのは僕も知っている。ただそれは、『愛されていることを感じたい』という、おおよそが愛に飢えた人間だ。
 こんなに愛を注いでいるのに、夏弥はまだ足りないというのだろうか?

 けれど、抱き締めてなお、夏弥は「やぁ…!」と幼子のように首を振った。

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