only me

03



「っふ…ん、んぁ…ん、む」

 ぬる、と真島の舌が口ン中に入って来る。ゾクゾクっ、と腰になんか走って、それがバレてるみたいに真島の手が俺の腰をゆっくりとさする。

 あ、あ、やばい。やばいやばい。
 視界が、潤む。

「…ぷ、はっ、はぁっ…」
「…相変わらず、キスで泣くなんて可愛い不良だな、君は」
「るっせェ…!」

 違ェよ、舌入れられたときだけだ。とは思うが、口には出さない。ダサいのは間違いない。

「ああ、俺とのキスのときだけか? 君は相当好きだな、俺のことが」
「…ッその眼鏡カチ割ンぞ」
「はいはい、眼鏡外してもっとキスしてくださいってことか」
「お前のアタマどうなってんだよ!」

 流れる動作で眼鏡(伊達だ、嫌味な奴)を外して、またキスされる。


 付き合うことになったのも、キスが最初だった。
 いきなりキスされて、驚く暇もなく舌入れられて掻き回されて──俺はそこで初めて泣かされて、それどころか腰砕けになって。

「キスだけでこんなになるってことは、君も俺のことが好きなようだな」

 そう、真島が言うから。
 そうなんだろうか、って思ってしまった。

 でも。
 でもな。

「っ! ッは、こら! やめろてめェ! やめろっ!」

 シャツの中に潜って来た真島の手を、渾身の力で掴んで止める。
 当然、真島は不服そうだ。

「覚悟、できたんだろ?」
「できたなんて言ってねェよ! ぜってーヤだ! 無理! 何度考えてもあり得ねェ!」


 真島は俺と──セックス、したい、らしい。


 いやいや無理だろ。いや、男同士でもヤれるってのは知ってる、それが好きな奴らは好きにしたら良いと思う。でも俺は無理だ。
 真島と? 俺が? セックス? ないないないない。
 しかも真島は俺を抱こうとしてるようだ。いやいや無理だろ。ないないないない。
 ンなことになったら俺はいつ勃ったらいいんだよ。どう考えても入んねェよあんなの。いや真島のアレとか見たことないけど。

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