キスペット。

10


 いやいやと涙ながらに訴えるが、激しく執拗な責めにぴくぴくと海晴の蕾がふやけて僅かに緩み始めたらしく、止まるどころか知己の舌は更に海晴の躯を犯す。

 ぬちっ、ぬちゅっ、ぬりゅっぬりゅっ、

「ぁっ、ンっ…! っ、ッ! っふ、ん、んんッ…とも、き、さ…っ」
「ふふ、かわいい。でもねハル君。判ってるとは思うけど、勃起してるよ?」
「っ!」

 太く膨らんだ屹立の根元を掴んで、揺すられる。赤くなった亀頭からまたあの透明な体液が滴って胸に散って、更に海晴に赤面させた。
 ぼろぼろ零れる涙を拭って、くすと困ったようなあの笑顔を知己が向ける。

「ハル君は苛められて感じるMなのかな。それともすごく感じやすい淫乱なのかな。どちらにせよ、このお仕事は向いてないのかもしれないね」

 少なくとも、雄相手には。そう言うと、更に海晴の躯を折りたたむように体重をかけ、また屹立へとキスを始める。

 すぐ眼前でその様子を見せ付けられて、居た堪れず海晴はきつく目を瞑る。

 ちゅ、ちゅ、ちゅ…
 ちゅるっ…ちゅ、ぷ…

 暗闇の中にリップノイズが響き、下半身からゾクゾクと抗えない快楽が駆け上がってくる。

 先日のように先端を上から咥え込まれることはないけれど、丸いカリをチロチロと先端で舐め、精管の通る裏スジを唇で食まれる。

「んっ…ふ…ぁ…、ら、らめ…ッ」
「いいよ。いっぱい出すといい」

 はむ、と睾丸を口いっぱいに含まれた。真っ白になった頭で遅ればせながらそれを理解したときには、


 びゅくッびゅくッ!


「ッわ、ゃ…っ」

 自ら放射した白濁が、思い切り自分の顔面に掛かった。熱く生臭い。滑って唇の隙間に伝うのを、なんとか逃がそうと顔を振るけれど、じんわりと青臭い味が口内にも侵入してくる気がする。

 目を瞑っていた所為で、性器の先がどちらに向けられているか、考える余裕が無かった。



「…これでも、思い出さない? …八木海晴君」



 海晴の顔に掛かった白濁を舐め取りながら、知己が言った。

「っふ…? …な、んで、名前…」
「やっぱり駄目か。中学生のときに痴漢されただろ。俺はそのときの君を保護した警官だよ」
「…?」

 思い、出せない。

「路地の陰に連れ込まれて、変態に散々悪戯された挙句に顔射されてた。…でもしばらくして道で会ったとき、君は俺のことをすっかり忘れてた」

 諦めたように、知己が言う。

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