キスペット。

09



 ちゅっ
「ぁッ」

 左の胸の真ん中らへん。おそらく乳首にキスを落とされて、変な声が出た。それが恥ずかしくて、慌てて両手で口を塞ぐ。

「大切なトコがビクビクしたね。乳首、気持ちいい?」
「…ッ、ふ…」
「はは、顔が真っ赤だ。悔しい? でも駄目だよ。俺はキスしかしないし、契約文にキスの場所の限定について記載はなかったからね。ハル君は甘んじて受けて。お仕事だからね」

 首や額、手の甲や項──ひとによっては、脚にキスさせることを望む女性も居ることから、契約文にその項目はない。
 また、基本的にはキスペットが女性客へキスをすることを前提にされているため、キスペットへのキス、についてはなにも決まりがないのも事実だ。

 ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、

 乳首を唇で吸い込んで、何度も刺激される。びくっびくっ、と躯が跳ねてしまう。
 その度に、陰嚢が知己の膝に当たる形になる。それがまた、海晴の羞恥を煽った。

「ああ。ハル君の乳首、硬くなったよ。ほら…コリコリ」
「ひっ…ゃ、やあぁ…っ」

 ぷくりと勃起した乳首に、ねっとりと唾液を纏った舌先が絡みついて、れろれろ弾かれる。また違う甘い痺れが下半身に走り抜ける。

「すごいよ。ハル君の乳首、乳輪全体もぷっくりしてくるんだね。すごく美味しそう…キスし甲斐があるよ」
「〜〜っ」

 自分では考えたこともないような躯の変化を逐一報告されて、海晴の羞恥心は限界だった。頭が茹だってなにも考えられない。

 なのに、知己は一向に責め手を緩めるつもりはないらしい。

 唇と舌で散々両の乳首を堪能したあとは、脇腹や臍にまでキスしたかと思うと、またツナギを剥ぎ取って──抵抗した海晴の腕をそれで頭上に縛り上げて──、腰の下にクッションと膝を差し込んで、海晴にも見えるように大きく股を開かせた。

「ゃっ! やだ、やだ、知己さん…っ」

 ぎし、と縛られた腕が軋む。
 しかし知己は穏やかな目の中にぎらぎらした欲望を滾らせて、海晴の固く締まった蕾へとキスをした。

「ゃああっ!」

 信じられない思いで海晴は必死に首を振るが、知己は止まらない。


 ちゅっ、ちゅっちゅっ、ぢゅるっ、ぢゅるるるっ

「ひ、ゃあ…ッだ、だめ、そんなとこ吸っちゃ、やだ…ッ、」

 ぢゅる、ぷちゅちゅ…っ、
 れろれろれろれろれろッ
 ちゅぷ…っ、ちゅくっ、ちゅくっ…

「ぁ、あ、や、やめ、だめ、舌挿れな、挿れない、で…っ」


 唇を押し当てる。唇で吸い上げる。舌でなぞる。舌で掻き回す。唾液を送る。全て、確かにキスの技法だ。

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