キズナ 02 想像する。 快楽に弱く、自慰ですら声を抑え切れない葵を押し倒し、その卑猥な性器を痛いほどに扱いてやる自分を。 茜の手に翻弄されて、蕩けた目で喘ぐ葵を。あかね、と呼んでくれる葵を。 ――っくッ…! 『は、…ッぁん…っ!』 さすが双子、とでも言うべきか。 茜と葵は、同時に果てた。 葵は一度性欲処理をしてしまうと満足らしくて、いつもそのまま風呂に向かう。 けれど茜の一度火がついてしまった欲望は、それだけでは足りない。 妄想の中で葵を散々に犯して、その底なしの欲望を満たそうとする。 いつから、そんな邪な眼で葵を見ていたのか、茜にも判らない。 たぶん生まれたときから葵が好きで、葵以外は要らなくて、葵が欲しくて、そしていつの間にか「好き」の形が変わっていた。 葵は超のつくほどの天然だから、茜が吐露しない限り気付かないだろう。 同じ遺伝子を持つ双子なのに、どうしてこんなことになってしまうのだろうか。 ――葵…。 好きだよ。 きっとそう言えば、葵はにっこりと笑っていつものように「おれもだよ」と言うのだ。 違うよ。おれの好きは、そうじゃないよ。 だが、気付く気のない葵に、茜も気付かせるつもりはなかった。 なかった、のに。 「茜ぇ」 とんとん、とノックの音。 ドアを開くと、風呂から上がった葵が笑顔で言った。 「背中やって、背中」 [*前] | [次#] 『雑多状況』目次へ / 品書へ |