勝敗

03


 湯浴みのあと、着替えている途中だったのか、上半身には首にタオルを掛けているだけで、下半身のストイックな師団服が不釣合いだ。
 濡れた髪や上気した頬が、良くない方向へ想像を掻き立てる。

 アーサーは頭を振って愚かな考えを押しやり、サリを見た。

「具合はどうですか、師団長。どこか悪いんでしたら、早く医者に行くべきですよ」

 招き入れられながらアーサーが言うと、サリは苦笑した。

「病ではないんだ。私の未熟さが原因というか。心配を掛けてすまない、アーサー。ありがとう」
「病気じゃないのに胸が痛いなんて…」

 そこまで言ってサリを見たとき、その小さな胸の突起が、ぷくんと勃っていることにアーサーは気付いた。
 なんだか見てはいけないものを見てしまったような気がして、言葉が消える。

 サリはそんなアーサーに気付かず、目を伏せがちにする。

「痛い、という訳でも、ないんだが」

 かぁ、とまた頬が赤らむ。その様子に、アーサーは気付いてしまった。
 言わなければバレないのに、生真面目な師団長は痛みを否定し、言い表そうと言葉を探して、赤面した。

 それは、アーサーの予想が正しければ。

「失礼」
「え?」

 アーサーはサリの首に下がったタオルを掴み、その端が乳首に触れるように動かした。



「ひぁっ…!」



 ビクンッ、と躯を大仰に跳ねさせて、サリは反応した。
 当たりだ。

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