I want...

02


 鋭い牙の並ぶ大きな口がまた笑う。堪え切れないらしい唾液がぽたぽた垂れる。

 巨大な獣に乗り掛かられる純粋な恐怖に、さすがのクロウも身が竦んだ。


 なのに。


「俺サマの名はゾラン・クーヴィッチ。ロス卿のご馳走をつまみ食いしに来たんだ。いただきまァす」

「ッアんっ…」


 躯は完全に浅ましく快楽を拾う。


 べろッと長く薄い獣の舌で首筋を舐め上げられると躯が強張り、か細い嬌声が喉を震わせた。

「っ…!!」

 一拍遅れて耳の先まで熱くなった。顔を背けて震える事しか出来ない。

 犬がにやにやと下卑た笑みを浮かべているのが見なくても分かる。


「ふゥん。なァるほどォ…ソッチの意味でも晩メシちゃんなワケか、あんた、ロス卿の」

「…っ」

「否定も出来ないくらい種付けされてる? ハハ、かァーわい」

「うるッがっ、ぁ゙…!」


 獣の牙が首筋に食い込み、鋭利な痛みが全身を強張らせた。

 牙を抜かれてからも甘噛みされて、ぢゅるぢゅるべろべろ、しゃぶりねぶられる。


「ッぁ、ッはっ、アアっ…ッ!」


 痛いはず。いや、確実に痛いのに、同時に強過ぎる甘い痺れも躯を震わせる。

「ハハ、首悦いワケ? エッロ、吸血鬼の為に生まれたみたいな子だねェ。なァ晩メシちゃん、知らねェだろうけどさ」

 犬はぐりと後ろ足がクロウの股間をにじった。

「ひっ!? ぁ、あんッ…っゃ、なんっ…」

 急激にそこが燃えるように熱くなって硬くなって、混乱を来たすクロウの耳に犬は囁いた。


「血の従属ってのァ、重複出来んだよ」


「ッな…っ!?」

 ハッハッと昂奮した獣の吐息が掛かる。明らかに犬は、ゾランと名乗る吸血鬼はクロウを凌辱するつもりだ。

 腰を落とし、勃起した肉棒を布越しにクロウのそれに擦り付けてくる。


「ふざ、けんなっ…! やめろッ!」

「『獣のおちんちんで犯してください』って言ってみな」

「ンなッ、だッ誰が…っ、ッ、!? ぁ、け、…ッ、獣の、おちんちんで…っ、お、犯し、て…っ、ッくだ、さい…ッ、」


 必死で抗いながらも、クロウは青い瞳に屈辱の涙を浮かべ、震える唇で犬の言葉を繰り返した。


 それだけではなく、クロウの躯は剥き出しの犬の肉棒へと自らの股間を擦り付け返す。


 躯が自分のものではないようなこの感覚には、毎晩、覚えがあった。

 巨狗は口笛を吹きそうな顔で舌舐めずりした。嬉しそうに。


「へぇ、すげェな晩メシちゃん、かなり強ェじゃん意思。抵抗出来んだァ、俺サマ達の従属に」
「ッ、」


 べろりと長く薄い犬の舌がクロウの舌を舐めた。


「睨みながらの卑猥なオネダリ、かァわいーなァ。ロス卿が夢中になんのも分かるぜ」

「ん、ぐッ…! ッ、ぐ、ゥ、…ッう…!」


 がたがた震えつつもクロウの手はシャツのボタンをひとつひとつ外し、裏庭で、巨大な犬に組み敷かれながら肌を晒していく。

 外気に触れてふたつの胸の粒は既に赤らんで、つんッと勃ち切っていた。


「ぃ、やだ…っ、ふざけ、ん、な…ッ」

「あァ〜イイねェ。無理矢理従えてる感じがサイコー」


 手はベルトを開き、パンツをずり下ろす。かなり抵抗したがどうしようもなく、下着も脱ぎ捨て、クロウは自らの性器を外気に晒した。

 地面にみっしり生えた下草が双丘を受け止める。

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