カミツキ!

05



 降車駅までの20分。

 絶頂しなかった事だけは幸いと言えるが、最寄りのバス停から一歩進むだけでくちゅ、くちゅ、と下着から濡れた聞こえる気がした。

 ブレザーの裾で窮屈な股間を隠しながら、梓織は帰路を急ぐ。…とは言っても、速度はあまり出なかったが。



   §



 どうやって帰ったかも記憶がないまま自室に籠もり、ベッドに座ってティッシュを引き寄せた。


(イきたい…出したいっ…はやく…っ)


 バックルを外す手ももどかしく、荒い吐息をもう隠す事もなく制服のズボンを脱ぐ。

 ボクサーパンツを引き伸ばし、先端の押し付けられる布地はじっとりと濡れて色を変えていた。


『愛いのう』
「っ!」


 ところが肉欲に溺れる梓織の意識を、『神』の声が引き戻す。


『しかとお主の痴態を見ておるぞ』
「…っぅ、」
『どうした? 早くそのはしたないまらを儂に晒すが良い、シオリ』


 とにかく解放ばかりを望んでいたが、突然自慰を見られるらしい事実に突き当たって青褪めた。

 はあ、はあ、と熱に浮かされ揺れる目で、誰も居ない自室を見渡す。ずくん、ずくんと股間の屹立は疼いていて、だが手を動かせない。


『恥じらうお主も愛いがな。脱げぬのなら手伝ってやろう。ほぅら』
「っあ…!? やッ、な…! ま、またっ…!」


 嫌だと本気で思っているにも関わらず自らの両手は下着に掛かり、「っ、や…だ…っ!」梓織が必死に抗う力にも構わずボクサーパンツを脱ぎ下ろした。

 ぶるんっ、と完全に勃起して先走り汁を垂らしている梓織の性器が空気に触れる。


「やぁ…っ!」
『足を開け。よく見えるよう、大きくな』


 それどころか、ベッド上で梓織は震えながらも大きく股を開いてしまう。見えない誰かに秘部を見せつけるかのように。


「…ッや、…っくそ、なんでッ…!」


 梓織の意思など関係なくブレザーを脱ぎ、シャツのボタンも外していく。


『嗚呼…愛い…。そうだ、乳で快楽を貪り、淫らに腰を振れ』
「ゃだ…っなんで、なんで俺がぁ…っ」


 命じられた通りに腰が勝手にへこへこと揺れ、性器が振りたくられる。火照った肌に、飛んで冷えた先走り汁が散る。

 乳首を晒せば、ねっちり20分弄り続けた所為でいつもより赤みが増したそこが、既につんッと勃起していた。また指先がそこへ吸い寄せられていく。


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