カミツキ!

04


 あの古びた祠に棲んでいるとの事だった。なら明日からはもう近付かないようにしよう。

 うん、と頷き決意しながら、梓織は制服の上から己の胸をまさぐった。



「ッ!?」



 誰よりも驚いたのは梓織だ。

「っ、? ッ?」

(ゃ、だ…っ、なんで…っ)

 乳首などこれまで意識した事もなければ、当然快感を得る事もない。だが周囲に目撃されれば変態だと見做されるのは必至だ。

 それは嫌だと止めようとしても、腕が、指が、言う事を聞かない。

 ブレザーの内側に滑り込み、シャツの上からすりすりと乳首の辺りを擦るだけで、ぷくっとそこが勃ち上がって主張した。


『嗚呼…愛い。反応しやすいのだな』
「っ!?」


 離れたはずの『神』の声に目を剥き、咄嗟に周囲を見回したけれど、バスの中は変わらぬ光景。

 だと言うのに、梓織の指先はシャツを押し上げる胸の突起をカリカリくりくりと弄り続けて、止まらない。


 それどころか。


 くにゅっ!

「〜〜っ!」


 びくんと全身が飛び跳ね、悲鳴を上げそうになるのを無我夢中で耐えた。さっきの奥が『動く』感覚。走り抜けた甘過ぎる痺れに涙が浮いた。

 混み合った車内ではない。不自然な動きはすぐに見とめられてしまう。恥ずかしくて情けなくて、梓織は懸命に身を縮めた。


「んっ、…っ」
『逃げ果せたと思うたか? 儂はお主に憑いて精氣を貰うだけの存在に成り果てておる。儂が神気を取り戻せば直に可愛がってやれる。それまではこれで許せ』

「っ? ッ、」

 カリっカリっ…
 くにっ! くにっ!

「っは…ふッ…」

 くにっ! くにっ!
 すり、すり、

「っ、ふ…ッ! っ…!」

 すりすり、すりすり、
 くにゅっ! くにゅっ!

「っ、ッ…! ン…っ、」


 熱い。

 躯がナカから溶けてしまいそうに熱くて、息が乱れる。
 じゅわじゅわとナカが蕩けるような錯覚に、シャツの上から刺激される乳首の感覚が──梓織自身の指が刺激しているのだが──綯い交ぜになっていく。

 既に股間は膨らんでいて切なく疼いた。

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