カミツキ!

03


 ただただ混乱する梓織に構わず、声は話し続ける。


『嗚呼…好い響きだ。シオリ。此れは悦いか?』

 くにゅっ、くにっ、

「ひんッ? ぁッぁっ…っゃだっこれぇっ…」


 また奥が『動く』。腰が疼いて躯がくねる。へなへなと力が抜ける。


『悦さそうだな。淫らな顔だ…』
「な、なにっ…なに…?」
『お主の躯に命じて、蕾の奥の痼りを触れずに刺激している』

 くにっくにっくにっ!

「ひぅ…っん…! っゃ、ぁっぁっんっ」


 耐え切れなくなって梓織はその場に崩れ落ちたが、


 くにっくにっくにゅっくにゅっ!

「っは、ぁ…ッ、ひ…っや、ぁ…っ、ゃ、だあ…っ」


 刺激が止む事は無く、躯の奥から全身に走り回る電撃は消えず、震えるしか出来ない。ずくん、ずくんと股間が疼き続ける。


『今の儂はお主の精氣で永らえるだけの身だ。お主は心地悦い、儂は愉しみ精氣を得られる。両者両得であろう』
「ッや、だぁ、こん、な…っ!」


 確かに身悶えする程の快感だが、得体も知れない相手に唐突に与えられたそれを喜んで受け入れられる程、楽天的ではない。

 いやいやとかぶりを振る梓織に、『神』が笑う気配があった。


『愛いな。愛い、愛い…』



 感覚が、止まった。



「っは…! は…っ、は…っ」


 『痼り』とやらを嬲られて、躯の奥がじゅくじゅくと熟れたような感覚に苛まれる。そこが前立腺と呼ばれる場所だなどと、梓織が知るはずもない。


 じん…じん…じん…


 辛うじて股間は勃起まではしていないが、わだかまる熱は逃すことが出来ていない。

 いつまた刺激されるのではないかと慄きながらも、梓織はふらふらとバス停へと足を向けた。膝も笑っているが、『神』がこの祠にいるのなら少しでも離れたかった。





 バスが来て乗り込む。部活帰りにしても中途半端な時間帯、乗り合わせているのはお年寄りや買い物帰りの人々だ。

 席を譲り、いくつかのバス停を過ぎて乗客もかなり減った頃、礼を言って老婆が降りていった1人用の座席に滑り込んだ。


 じん…じん…じん…


「…はぁ…」

 腰を落ち着けて息を吐く。初めての感覚に躯はまだ疼き続けていて、途方に暮れた。


(なんだったんだろ、アレ…)



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