カミツキ!

02


 痛い、訳ではない。
 ぞくぞく、ぞわぞわ、…下腹の奥が疼く。視界が潤む。


 くにっ、くにゅっ、くにっ、

「ンッ、んぅっ…んッ…!」


 刺激が続いて頭が茹だり、耐えられなくなってしゃがみ込んだ。小刻みに躯が震えて体温が上がる。

 …分かってしまう。
 これは急激で強烈な、快感だと。


(なっ、なんで…っ?)

 くにっ、くにゅっ、

「ぁっ、ゃっ…!」


 なにが起きているのかも分からない。

 こんな、いつものコンビニの前で、親友の前で、いきなり性的な快感に苛まれている事実が恥ずかしくて堪らない。


「ぉ、おい梓ぉ、」


 蹲った梓織の肩を押し上げた親友が言葉を失う。


「ゃ、」

 くにゅっ!

「ッひぅ…っ!」


 明らかに発情している顔を親友に見られたくなくてむずかろうとした途端にまた躯の奥を、性器の裏側を圧されるような感覚に翻弄される。


「しおり、」
「っご、ごめ、帰る…ッ!」


 目が回る。親友を突き飛ばし、無我夢中で逃げ出した。





「ッはあっ…!」

 とりあえず、いつも挨拶をするほとんど崩れ掛けの小さな祠の前まで。大きな神社の上り階段の脇に、隠れるようにしてあるそれ。

 そんなに長い距離でもないのに息が上がり膝が震えるのは、じんわりと股間も熱を持ち始めているからだ。


「っも、もぉ…なん、で…」
『他の雄に触れさせるからだ』
「ッ? な、なに…? だれっ…?」


 突如聞こえた、若い男の声。梓織よりは年上だろうか。視線を走らせても、誰も居ないのに。


 くにっ、くにっ、くにっ、

「ッぁっ? ぉっ…! っや、っ」


 再び始まる刺激。奥が『動く』感覚によって全身へ走る甘い痺れ、と言う方が正しい。


『儂はこの社に棲まっていた』
「…っ? ぇ、なに…? か、神、さま…?」



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