淫妖奇譚 肆

08


 顔色を失くして見下ろす『魂』の双葉へ、見上げた犬神はにやりと笑った。


「やはり本物の啼き声の方が唆るな」


(おッッ…まえふざけんな!!)

「最初から精を散らさん程度に遊ぶと言っているだろう。──ほら、望み通りまぐわってやる。牝犬のように尻を突き出せ」

 『躯』の双葉の舌から逃れるように身を捩り、前脚で促すが、ふるりと『躯』は首を振った。

「だめだ…後ろから突かれると俺の子種…陣に落ちないから…。前から太いの…挿れて…」

(もういいもういい!! 川の神! 止めてください!)


 『躯』の双葉は、狗でも前から挿入しやすいように自らの膝を両手でそれぞれ掴んで、大きく股を開いて仰向けに横たわる。ひくりと菊座が期待に収縮した。


「あっはは、露骨だねぇあの呪い。あれはあれでかわいいけど、私達の双葉じゃないね」
「これで騙せると思われたのが業腹だな」

 河童は腹を抱えて笑い、犬神はふんと鼻を鳴らす。双葉は『躯』を指して2匹に怒鳴った。


(話聞こえてるって言ったよな!? やめろ! 止めろ!)


 あんな格好を見られる羞恥に顔が燃えそうだ。

「仮にも神にそんな命令できる君が本当に好きだけど、残念ながらこのテの怪異はあの狗の独壇場だよ。私が解決しようとしたら力づくになるので、君の躯が死んでしまう」

 喚く双葉に、河童はやれやれと首を振った。

(…え…つまり…?)


「遊んだら軽く追い出してやるから少し待て。追い出したあとのナカの具合との違いを比較してやる」


(〜〜〜〜ッ!)

 どうして己の使役にはこんな色魔しかいないのだろう。双葉は罵倒の言葉を探したが、それよりも先に犬神は大きく開かれた『躯』の双葉の股の間に巨躯を滑り込ませ、ガチガチに勃起したまらを『躯』の菊座に躊躇いなく挿入した。

 太くて熱いモノが、『魂』の双葉の菊座の奥にも押し進んで来る。


 ぐぷ…っ、ず、にゅく…っ

(ぁあぁぁあ…ッ! ぃ、嫌、やめ、やめろぉ…!)

「ぁあ…ッ! 気持ちぃ…っ早く、早く奥まで挿れて掻き回してぇ…!」

(ふざけ、…っ! ッ! ぁ、ぁ、ぁ…ッん、ッんはぁ…ッ! あっあっ、)


 ぬ゛ちぬ゛ちと音を立てて、時折腰を引いてはまた進んで、怒張した楔が濡れた肉壁を嬲る。


「ぅわぁ、すごいね」


 場違いにいつも通りの河童が、『魂』の双葉の菊座を箪笥から身を乗り出して覗き込んだ。

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