淫妖奇譚 肆

06


 遊び女も斯くやと媚態を晒すのは双葉の『躯』の邪気──しかも此度は双葉個人を狙った可能性の高い呪いの作用であり、間違っても双葉の本心などではない。

 陰部を舐められているのだから今更ではあるが、やはりそれと匂いを嗅がれているという羞恥は全く別だ。

 薄く長い犬神の舌が、『躯』のまらを根元から先端まで一気に舐め上げる。

(ふッ…! うぅ、んぅ…ッ!)

 びくびくびくびくびくッ、と快楽を仕込まれた双葉自身の躯が震える。つまり、今の場合は『魂』が。


「ッあん…! ぃ、い…っもっと、もっと舐めて…っ」
「そうだな。お前はココが好きだからな、双葉」

 ぺちゃぺちゃぺちゃっ

(ひゃッ! ぁっ! ゃめ、そこ、そこだめ…っ!)

 ぺちゃぺちゃぺちゃぺちゃぺちゃぺちゃっ

(だめ、だめだめ…ッ! やめ、やめて…!)


 犬の薄舌が執拗にねぶり続けるのは先端の孔とその周囲の筋間だ。逆柱にまらの中に触手を捻じ込まれてから、すっかり過敏になってしまった場所。

 中空で浮きながら『魂』の双葉はがくがくと腰を震わせ悶える。なにもされてないように見えるのに舌の感触だけが敏感な部分を刺激し続けるから、ぱたぱたと愛液が滴り落ちる。落ちて、なにも濡らさない。


「はぁあんッ! そこぉ…! 鈴口ぺろぺろもっとしてぇ…!」
(ゃ、嫌…ッ、へん、へんになる…っ)


 大きく股を開きぶるぶるとまらを震わせて強請る『躯』の台詞に、『魂』の双葉は必死に首を振る。

 一瞬──犬神と目が合った気がした。

 けれど犬神は嬉しそうに勃起した双葉のまらが動かぬように前足で根元を押さえつけ、孔付近の筋間を狗の薄い舌で掻き出し抉るように責め続けた。


 ぺちゃぺちゃぺちゃぺちゃぺちゃぺちゃっ

(ゃっあぁあああッ! ぁっだめ、嫌ッ嫌ッ…! へん、へんなの、くるぅ…っ! いゃ…っいや…っ!)

「んぁあ…ッ! いい、いいっ…! ぁっもっとぉ! もっと激しくぺろぺろしてぇっ!」

(ぁっぁっぁっらめ、アレくるっ…! 来ちゃ…ッ!!)


 ぐいと犬神が伏した双葉の『躯』の脚の間にまらを押し倒し、更に先端の丸みを帯びた部分を舐める。


(来ちゃ…ッッ、はッぁ、あぁあんッ!)

 ビクビクビクビクビクビクビクビクッ!!


 双葉は──『魂』も『躯』も、全身をのたうたせて主に下腹から股間を痙攣させた。

「双葉…?」

 その痙攣が長く長く甘い痺れであり、思考を蕩かすほどの快感であると、理解するのに時間が掛かった。犬神も困惑している。

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