A&D 2 02 相変わらず耳触りのいいよく響く声が告げた途端、周囲に光の檻が現れて悪魔は天使に捕まった。 いつもの焼けつくような『力』かとその檻に指先を触れてみたが、光なのに質量があり、ただ逃げられない、それだけだ。 だからそれを掴んで迎え受けた天使を睨む。 「天使の癖に悪魔召喚してんじゃねぇよテメェ」 「ちゃんと血は捧げましたよ? win-winでしょう?」 「虫みたいに捕まえといてなにがwin-winだ」 「欲しいものは捕まえたらいいのだと知人に教わりまして。ところでウーノくん、躯に異変はありませんか?」 憎まれ口を叩いても、天使・エディルには相変わらず響かない。 檻の隙間から手を伸ばしてくるので、素早く後退って距離を取った。この男型の天使に散々犯された記憶は薄れることはない。 もちろん、檻の中なので限度はあるけれど。光なのにガシャ、と背が触れて音までした。 「ッなにもねぇよ、正式に召喚してくれてありがてぇこった」 「そうですか。じゃあ、私は仕事してくるので良い子で待っててくださいね」 「…は?」 エディルの言葉が信じられず、ウーノは聞き返す。 想定したくもない内容ではあるが、エディルが前回の交合に味を占めて、ヤりたいから召喚したのだと思っていた。 だからすぐに昼夜問わず犯されるのだろうと怖気を感じていたのだが、どうやらそうではないらしい。 「…な、なんで召喚したんだよお前」 「ウーノくんを忘れられなかったからですよ?」 「ま、まさかお前…ガチで…」 飼う気か。 「ええ。手に入れたいから召喚しました。だから今、私はとても幸福です」 うっとりと、恋する乙女みたいに上気した綺麗な顔が微笑む。代わりにウーノは血の気が引くのを感じた。 天使は嘘を吐かない。吐けない。悪意だってない。 つまりエディルは、純粋100%の恋慕で、あるいは肉欲で、ウーノを監禁するつもりだ。 [*前] | [次#] 『幻想世界』目次へ / 品書へ |