犬が舌を垂らすとき

03


 言われるままに、もたもたと服を脱いでいく。下着を脱ぐときに戸惑ったのは、犬の存在に既に中心を昂ぶらせているからだ。
 だが、飼い主の命令に逆らうわけにはいかない。

「っ、」

 意を決して下着をずり下ろすと、ぷるんと赤く勃ち上がった性器が、ふたりの男と、2匹の犬の前に晒された。
 垂れ下がったふさふさの尻尾が自分の腿をかすめて、ふるりと全身が震える。

 床に伏せていたグレート・デンとセント・バーナードががばりと起き上がり、客の男が慌てる。

「よし」

 号令を出して、飼い主はガラス張りの『部屋』を指した。そこはシラが、犬に犯されるための『観察室』だ。
 部屋へ向かうシラの背中で、飼い主が自慢気に客にシラのことを説明している。




 ぱたん、と扉を締めて、シラは四つん這いになって、犬を待った。
 勝手に体温が上がって、振るつもりもないのに、期待に尻尾が揺れる。

「ぅ、えッ?!」

 しかし、しばらくして現れたのは、さっきのグレート・デンと、セント・バーナードだった。

「ご、ご主人さま…っ?」
「大丈夫だよ、シラ。その子達も、私がヒトの遺伝子を組み込んだ子達だから、いつもみたいに尻尾を上げたらいい。しっかり『おもてなし』するんだよ」
「っ、は…い…」

 そういうことかと、シラは得心し、そして同時に諦めた。

 嫌だと思う気持ちと、犬との交合を待ち望む躯。
 シラはそのどちらも、捨て切ることができないのだ。

- 140 -
[*前] | [次#]

『幻想世界』目次へ / 品書へ




 
 
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -