犬が舌を垂らすとき

04


 2匹の大型犬はすぐに駆け寄って来ると、蕾の勾いを嗅いだ。犬にとって肛門の周りからは独特の勾いが分泌されており、その勾いで個体を識別することが、挨拶になるのだという。

 そしてそれはフェロモンともなり、更にどうやらシラの場合、その犬にしか判らないフェロモンが、瞬時に相手を『その気』にさせてしまうくらい、強烈らしいのだ。

 シラが尾を上げて蕾を晒し、挨拶を受けた途端、セント・バーナードがべろりと双丘の谷間を舐めた。

「っひゃあっ!」

 いくらある程度の覚悟をしていても、慣れないものは慣れない。
 ぺたんと頭に耳がつく。

 荒い犬の鼻息が蕾をくすぐり、セント・バーナードは夢中になって蕾を舐め回す。ぞぞっ、と躯中に粟立つような感覚が走る。

「あぁっ、あ、あ…っ、や、ああ…っ」

 床についた手がガクガクと震える。シラの前に回ってきたグレート・デンが、シラの開きっぱなしの唇をぺろりと舐めた。

「はふ、ん…っ」

 シラはその薄い舌に、懸命に自らの舌を絡める。ぴちゃ、ペちゃ、と卑猥な水音がする。長い舌がシラの上顎を舐めて、ぱたぱたとシラは尻尾を振った。

 キモチイイ。
 犬に愛撫されることが、たまらなく、キモチイイ。

 潤んだ目でガラスを見ると、その向こうでは客の男が興奮した表情でシラ達の様子を見つめていて、飼い主はにこりと笑った。

「ほら、シラ。君ばかりが気持ち良くなってちゃいけないだろう」
「ぁ、ん…っ、は、はい、ご主人さま…」


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