前述。

03


 手足や胴体に巻きつくだけでは治まらず、衣服の中にも潜り込んで来る。

「わゎわッ、ちょ、ネオっ! 待って、マジ待ってッ…! ッや、ゃだっ…!」

 このまま触手の根元、中心にぱかりと開いた口に放り込まれ、捕食されてしまうのか。

 藻掻いても2体分の触手はどうにもならない。肌を直に撫でる濡れた感触に身震いした。
 ベルトを締めたパンツにも、腰の辺りからズルリと侵入されて、下着の中にまで入り込む。

「ぅえっ?! や、ぁッ、ま、待ってネオっ…! そッ、そこ、だめ…っ!」

 にゅるにゅる、と絡みつく感触。
 こんなときだと言うのに、意識してしまう自分に慶壱は恥ずかしくなる。
 と。


 チクンっ!
「痛ッ?!」


 腹部に走った鋭利な痛み。まさかと慶壱は青褪めた。

 イソギンチャクは身体の至るところに刺胞という針を持つ。打ち出されたその刺胞は、餌や敵に毒を与えることが多い。遺伝子を組み替えたネオの刺胞にどんな効果があるかは不明だが、おいそれと受けて良いものではないだろう。

「ゃだっ! やめろネオ! やめっ、痛ッ」
 チクンっ、チクンっ
「い、痛いってばッ…!」
 チクチクチクチクチク…
「アッあぁッ、いぎぃッ…!」

 全身に打ち込まれる刺胞。ガクガクと身悶えして喘ぐ慶壱の頬に、する、と触手が触れた。
 それが、優しい触れ方のように、慶壱は感じた。まるで、慶壱を確かめるような。

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