Welcome!!

04



「あーッ! 委員長抜け駆けすんなよなッ! 皆待ってんだぞっ!」

 周が認識するより早く、脱衣所を覗いた朝井が喚く。
 博也は笑って、周から躯を離した。

「行こうか」

 周はぼんやりしたままで、訳も判らないままふらふらと博也を追った。

 浴室には、十数人が入っていた。
 一様にニヤニヤと笑みを浮かべている。周は目を擦る。湯気で視界が狭い。

「彼は転入生の衣上 周くん。皆、仲良くしてあげて下さい」

 博也が皆に向かって言う。風呂場で、素っ裸の状態だ。
 変なときに紹介するものだとぼんやりする頭で周は考え、それから自分がまさしく一糸まとわぬ姿であるのに気付いた。

「っ!」

 慌てて戻ろうとしたが、ふと見ればそこにいる全員が同じ姿だった。寮となれば、温泉などとは違うのかもしれない。

「周ってんだ? な、委員長、俺早く洗いたいよ」

 朝井が声を張る。にこりと博也は笑った。

「シャワーを」

 その言葉に数人が手早く動き、博也は周の手首を背後で戒めた。

「え、ちょ、なに…?」
「躯洗うんだよ。掛かり湯だけじゃやっぱり大勢が入るとお湯が汚れるからね。『湯船には躯を洗ってから』がルール」
「う、うん、ルールはいいんだけどさ。なんで俺、博也に捕まえられてんの…」

 舌は辛うじて動くものの、込み上げる眠気が浴室の温度とも相まって、思考を食い潰す。腕力も少しも発揮できない。

「うん、よく効いてるみたい」
「…?」
「行くぜー、周チャン」

 誰かに言われたあと、躯中に温かな湯が掛かる。突然の温感刺激にゾクゾクと躯が震えた。

「ぁっ…」


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