君が判りません・前篇

07


 だがそんなことは言わないし、後藤も聞く気はないらしい。

「まさかあのあと、あいつとヤった?」
「は?!」
「俺から連絡ないのをいいことに、あいつのち○こ、このお尻に咥え込んだの?」
「ばッ!」

 冗談じゃない!
 どれだけ犯されようが、俺にその気はない。なんで廣瀬なんかと、

「…ぁ」

 木曜日。
 廣瀬と、ふたりで。

「ちッ、違う! あれはただ、喋ってただけでっ!」

 事実なのに、言い訳すればするほど嘘臭くなるのは、何故なのだろう。

 後藤はただギラギラした眼で冷たく一言「ふぅん?」と言った。むに、と尻が割り開かれる。

「ッあ…」
「先生、最初に比べるとヤらしいお尻になったよね…凄いよ、ぱくぱくしちゃってる…」
「んぅ…ッ」

 それは俺も感じているから、わざわざ言わないで欲しい。ひたすらにシーツをぐしゃぐしゃに握り締めて、とにかく終るのを待つ。

 ところが。

「なんかして欲しいんでしょ、先生? 先生の考える、いっちばんエロい台詞で、おねだりしてよ」
「ッえ?!」

 いい1番エロい台詞?!

 後藤がしたいことは判る。また俺のア○ルを舐めて、俺を屈服させたいのだ。

 だがそれを、自ら頼めというのか。

 俺の気持ちを汲んだように、後藤は笑った。

「こないだ駐車場でエッチしたときは、自分からいっぱいおねだりしてたじゃん。出来るでしょ」
「ッ…!」

 『こないだ』だって、もう俺は薬でブッ飛びまくってて、記憶なんかほとんどない。だから忘れて過ごしていられた。

 だが、今回はビデオがある。この先も、逃げられないではないか。

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