君が判りません・前篇 06 「っ!」 バレた。 一層顔が赤くなる。きつく目を瞑り、少しでも後藤から距離を取ろうとする。 どうしよう、泣きそうなくらい、恥ずかしい。処女の乙女でもあるまいに。 「先生、そんなこと意識しちゃってたんだ。かわいい…ね、恋人みたいとか思った?」 「ッそ、なこと…っ」 「恋人みたいに、こんなこともしてみる?」 後藤はそう囁いて、俺の首筋を痛いほど吸い上げた。 ちゅばっ、と音がして離れたかと思うと、場所を替えてまた吸われる。 「んゥ、んッ…」 「俺のものだって意味も込めて、いっぱいキスマークつけたげる」 「や、ぁんッ…んんっ…」 しばらく首筋を吸われ続け、ふと後藤が躯を離したので見ると、ビデオのレンズを俺に向けているところだった。 ぐいと俺の腰を持ち上げ、にぃと口をつり上げ、満足げに笑う、後藤。 腰だけ後藤に突き出すような格好。耐えられずシーツを握り締めると、更に羞恥心が煽られた。 「ぃ…いやだ、後藤…ッ、こ、こんな…っ」 「恥ずかしがってる先生、マジかわいい…」 必死に首を振る俺にそんなことをのたもうて、後藤は俺の尻を撫でる。ゾクゾクと躯が震えた。 ――だめだ…。 もう、俺の躯は完全に、後藤に掌握されている。改造されている。…調教、され尽くして、いる。 絶望的な気分になった。そんなときに、ふと後藤が言った。 「廣瀬なんかにお尻振ったお仕置き、しなきゃね」 「ひ、ひろせ…?」 予想外の名前に、俺はぽかんとしてしまう。廣瀬どころか、世界中探したって、俺がこんなことをする相手は後藤ひとりだ。 [*前] | [次#] 『学校関連』目次へ / 品書へ |