好きってなんですか? 02 腕や首筋が粟立ち、躯中が拒絶する。頭を振るが逃れられない。ただ耳を犯す水音。 「ふぁっ…、は、ァ」 「先生…好き…」 「はぁ…? ちょ、待てよ後藤…ッ」 ネクタイを解いていく後藤に慌てるが、近頃の高校生は発育が良い。全く勝てない。悔し過ぎる。 「待てったら…っ!」 「どうせ出れませんよ。俺の仲間が鍵閉めましたから」 友達、ではなく、仲間、という言い方が嫌だった。これから起こる行為を容認しているようで。 「いや後藤っ、好きな相手に対する好意のぶつけ方が、何段もすっ飛んでるぞ!」 男が好きだろうが女が好きだろうが関係ない。好きな相手への接し方として、間違っている。 「先生…じゃあ真正面から言ったら付き合ってくれました?」 「いや、生徒はさすがにマズイし。俺そっちの趣味はないし」 真顔で訊かれたから、つい真面目に答えてしまった。俺の莫迦! 後藤が破顔する。 「じゃ、一緒じゃないですか」 「いやいやいやフられたら諦めるって心構えは必要だぞ後藤」 ぷつぷつとYシャツのボタンを外そうとする後藤の肩を掴んで引き剥がそうとするが、後藤も引かない。 「イタっ」 「あっ悪い」 小さく呻いた後藤に思わず手を離すと、その手を後藤が逆に掴み、ニタリと笑った。眼に、キスが降る。思わずきつく目を瞑ると、手首が締め付けられる感覚がして、慌てて目を開ける。手首は、ネクタイで縛り上げられていた。 「…へっ」 「先生。好きなんです」 [*前] | [次#] 『学校関連』目次へ / 品書へ |