これって変ですか?

08


 後藤の携帯電話は相変わらず俺の痴態を収め続け、今は後藤の手が裏スジを撫で上げる度に亀頭のワレメから透明な愛液を溢れさせる様子を撮っていた。

「もしかして先生、我慢してる? いいんだよ、いっぱい射精して。全部撮ってあげるからさ」
「ぁぅ…っぅ、ん、んっんっ、ぁ、ぁあっ…っ!」

 後藤はそう、煽ってくるが。
 できるものなら、している。

 性欲と肉欲に溺れて、ただの獣みたいになっている俺は今更イくところを撮られたくないとか、そんな気持ちはもう欠片たりともなくなっていた。

 はしたなく後藤の手に合わせて腰を振るありさまで、イきたくて、イきたくて、イきたくて、堪らなくて。
 でも、イけないのだ、…どうしても。

 ア○ルの表面も浅いところも、指で届くギリギリのところも熟れ切っているのが分かるのに。

 涙で濡れた睫毛が重い。
 俺はじれったい手淫を続ける後藤の腕を掴んだ。

「ごとぉ…おねが、うしろ、たのむ、おねがぃ…」
「やだな先生、自分でいじってるでしょ?」

 意地悪く口角を上げる後藤に、必死で首を振る。

「やらぁ、ごと、のが、いい…っ」

 しゃくり上げながら言う俺に後藤はまた興奮した雄の眼になったけど、ひとつ息を吐いて見せた。


「足りないって? 本当に先生ってえっちでずるいよね。自分ばっかり気持ちヨくなりたがっちゃってさ」


「っ!?」

 たぶん、後藤としては前戯の内のひとつ、つまり言葉責めの一環だったのだろうと思う。
 しかし完全に熱に浮かされた俺の躯と、情欲の塊になった俺の思考に、そのひと言はひどく重く響いた。それはもう、自分でもびっくりするくらい顕著に。


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