既に駄目です

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「ン…」

 言われるままに、キスをした。
 ぬるりと割り込んで来る舌。膝立ちの状態で、両手も使えないために、うまく姿勢を維持できない。とろりと唾液が伝って落ちる。

 ア○ルの異物の存在を忘れてしまおうと、俺は拙いキスを続けた。
 お陰で少し、落ち着い――、

 かちん。

 ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴっ
 ヴぃーん、ヴぃーん、ヴぃーん、

「ひゃぁああっ?!」

 収まり掛けた欲求が、一気に爆発寸前にまで昂ぶる。

「ぁ、あぁ、あ、ア、あひ…っひゃ、はふっ…!」

 ただただ翻弄されて、促されるままに後藤の唇を貪り、蕩けて。

「ァ、イ、っ――!」
 がちん。

「…っく、ふ…、は…はふ…は、ぁん…やぁ…」

 絶頂を迎えそうになる度に、寸止めされて。
 思考なんか完全に停止していて、俺は泣きじゃくりながら後藤の胸に崩れ落ちる。

 もう頭の中、真っ白。
 イきたい、イきたい、イきたい。そればっかり。

 なのに後藤は、ただ優しく俺とキスを繰り返すだけ。玩具のスイッチを入れて切るだけ。俺の性器には触れてさえ来ない。

 何度も何度もそれを繰り返されて、俺は遂に限界を迎えた。

「ゃだ…、ごと…ごとぉ…っ、ひく、ひぅ…イ、かせて…、も、むり…」

 くちづけを交わしながら、懇願する。
 いつの間にか、キスが気持ちよくなっていた。玩具が止まっても、俺が求めれば後藤はキスならちゃんと返してくれる。

 体温を感じない玩具に苛められて、俺はすっかり恐くなっていた。
 そう。
 もちろんぶっ飛んでいる状態の俺には判るはずもないが、俺の躯は、確実に。


 『後藤の愛を感じない』ことを、嫌がっていた。


 だから。

 後藤が俺の頬を撫でる。

「イきたい?」
「ふ…」

 こくこくと肯く。

「俺のこと、愛してる?」
「ぁぃ、あぃひてぅ…」

 だから。


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