既に駄目です

07


 勃ち始めた俺の性器を、後藤がやんわりと握る。
 そして。

「っ?! な、んだこれ…」
「勃起持続リング。出せなくして、長くセックス楽しむためのものだけど、最近は違う用途で使われるよね。――こんな風にさ」

「っぅ…」
 ぎち、と1段階きつくされる。

 出せなくして? と、いうことは。
 青ざめた俺に、後藤はにこりと笑っていない笑顔を向けた。

「今日はイかせないよ」
「そっ…!」
「それとね、先生。ナカにたっぷり、こないだのクリーム塗ったから。気持ちヨくなってね?」

 クリーム。この口振りからすると、いつも挿入のときに使うそれではなくて――。
 全身から血の気が引いた。まさか、あの、駐車場の。

 後藤はソファに乗り上げ、背もたれに軽く腰かけた。俺が完全にソファに乗っているから、ひっくり返ることはない。
 ワークパンツの前を寛げ、半勃ちのあの大きな性器が、俺の前に差し出される。

「効果が出るまで、久しぶりにしゃぶってよ、先生」

 いつも後藤が情動に任せて俺を攻め抜くから、俺がこういうことをするのも、あまり、ない。

 普段と違うことを徹底してすることで、後藤は俺を『満足』させる気なんだろう。

 もちろん、嫌だ。俺は男だしそのケはないし、なにが悲しくてフェラチオなんてしなきゃいけないのか。

 でも、あのクリーム。
 ここで言うことを聞いておかないと、あのア○ルの疼きが来たとき、俺はどんな痴態を演じさせられてしまうか、判ったものじゃない。

 だから後藤の機嫌は、とっておくしかない。

「…っ、」

 意を決して、その性器に舌を伸ばす。丁寧に全体を濡らして、それから少しだけ、亀頭を咥えてみる。ぐ、といきなり口の中でそれが膨らんで、ぎょっと身を引こうとしたけど、後藤に頭を掴まれて逃げられなかった。

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