既に駄目です

06


 
「っう…」

 ゆっくり、後藤の指がア○ルに潜る。ぐる、と傷を確かめるときのように回されて、気持ち悪さにソファにしがみつきたいのに、縛められた腕では叶わない。

 抜かれたと思えば、また挿し込まれて。
 丁寧に、けれど慣らすとか拡げるとか、そんな感じではなくて。どこか機械的に、淡々と。

 …なんだか、嫌だ。

 いや、そりゃこんなことされてるんだから、当然嫌は嫌なのだが。

「ご、後藤。怒らせたのなら謝る、悪かった。でも、ほんと俺、そんなつもりないし、怒らせたくもないんだ」

 懸命に訴える。間違うことなき本音だ。
 しかし後藤は応じず、背後から両手を俺の胸に回し、指の腹でまだ柔らかい色づいた場所を弄り始める。

 ぷにぷに、くにくに。
「…っん」

 どこもかしこも開発された俺の躯は、それだけでもあさましく快感を掻き集め貪ろうとする。

 すぐにぷくっと勃ち上がった乳首は、汗なのかなんなのか、舐められてもいないのに何故かしっとりして、ぴとりと後藤の指にまとわりつく。

 過敏になったそこをぷるぷる弾かれたり、先を爪で刺激されたり、きゅっとつままれたり押し潰されたり――。

「っ…は」

 頬が熱い。悔しさと恥かしさに視界が潤む。
 男なのに、乳首を弄られるだけで感じるなんて。

「先生、すっごいどきどきしてる…期待してる?」
「ち、が…」
「ほんとにえっちなんだから」

 後藤の声が冷える。

 莫迦。俺をこんな躯にしたのは、お前だろう。いつも言ってるのに、知ってる癖に、なんでこんなときだけちゃんと受け取らないんだ。

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