卒業記念

02


「いやー、キツいときも多かったし、公式記録も輝かしいのは残せなかったけど、楽しかったなぁ」
「もう司のあの酷いスマッシュを見れないかと思うと、淋しいね」

 にこにこと昭平が言って、「うるせーよ」と司が顔を赤くした。

「ねぇジル。君も司のスマッシュ見れないと淋しいよね」
「…そうかもな」

 なんとなく黙っていたジルは、話を振られて本当に感慨深くなったのだろう。眉を寄せたまま、儚げに微笑んだ。
 その表情に、ごくりと唾を飲んだのは、慎吾だけではなかった。
 司と昭平は顔を見合わせ、それから慎吾を見た。途端、ゾクリと何かが背に走った。

「っあー…ヤベ…」
「我慢してたんだけどねぇ…」
「?」

 司と昭平がそれぞれに言って、ジルが訝しげに首を傾げる。

「どうだァ? 慎吾ぉ」

 司が『何か』を提案してくる。
 ジルの澄んだ碧の目が、慎吾に向けられて――。

 こういうのを、魔が差したというのだろうか。


「…ああ…」


 気付けば慎吾は、『それ』に賛同していた。




 すぐに押し倒した。
 3人がかりで自由を奪って、転がっているコートポールに絡まっていたネットで腕を拘束して、制服のボタンを外していく。

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