不協和音

08



「俺、ずっと兄さんが好きだったんだよ?
 なのに兄さんはいつも余所見ばっかで、周りにばっかいい顔して。好きになって欲しくて俺、ずっとイイコしてたのに…俺の目の届くところで、他の奴に兄さんを触らせようとするから」

 ぬるぬるした指が、ナカへ這入って来る。

「ぅあ、あ、や、やめ…っあ、あ、あ…っ」

 俺は今、されていることが信じられなくて、喘ぎながら卓也の顔を見た。
 卓也は目だけをギラギラさせたまま、見せ付けるようにゆっくりとタクトを抜き挿しして、キスをした。

 躯を通して、心を内側から壊されるような気持ち。

 卓也の指がア○ルを解すように動く。

「んぁ、ぁふっ、は、はぁっ、はぁっ」
「そうそう、息を詰めないで、ちゃんとブレスしてね」

 卓也の指導通りにすると、確かに苦しさが薄らいで、俺は情けないことに、イヤイヤ言いながらも卓也に逆らえなかった。

 俺が身動きする度に、ピアノが無様な音を立てる。

 弟がイイコだから俺もイイコの表を作るしかなかったのに、弟のイイコは俺の為だったなんて、笑えない。
 もっとお互い正直だったなら、こんなことにはならなかったのだろうか。

 ア○ルから指が抜かれて、代わりに太くて丸いものが当てられる。

「いくよ、兄さん…」
「ぁ…? あ゛?!」

 ズグ…と埋まってくる、硬いそれ。自失しかかっていた俺は、熱い感覚に我に返った。最悪の瞬間だ。いっそ気でも失えばよかったのに。


 俺はア○ルに、実の弟のちんこを、ずっぷり挿入されてしまった。



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