不協和音

09



「ぅあぁッ! ぁひっ、ひぃん…っ! 嫌、嫌ぁあ!」

 散々喚き散らしても、音楽室は防音だ。ジャンとかガンとかピアノを鳴らしながら、卓也の律動に俺の躯が突き動かされる。
 余裕のないらしい卓也は、こともあろうか俺のナカにさっさと射精してくれやがり、それで一旦落ち着いたらしく、抜かずにそのまままた律動を始めた。

「あッあッあッあ、ゃめ、ゃ…っ、あぁんっ!」

 余裕が出来た卓也は、タクトを動かし、乳首にむしゃぶりついてくる。

「ひぁっ、あっあっ、ゃだ…っこわ、れ、…っ」

 駆け上がって来る感覚に、五体が溶けそうだ。
 卓也が俺を抱き締め、腰を更に強く打ち付けてくる。

「壊れて、兄さん。そしたら俺用に調律し直してあげる…」
「いやッ、いやっ、あ、ゃ、あっあッ──!」

 グリ、とタクトを回転して抜かれた途端、それを追いかけるようにして俺は濃い精液を大量に吐き散らしてしまった。
 紺の卓也のベストに、無様な白いおたまじゃくしがいくつも描かれる。俺は唖然と、卓也は嬉々としてそれを見た。

「ほら、兄さんは孔に突っ込まれて感じられるじゃない」
「ち、ちがっ…!」

 最後の気力で否定したが、卓也は構わず腰を打ち付けてきた。

「こんな躯で女の子なんて抱けないよね…智也…」
「や、やめ、ろ…っ」
「まだ言うの? じゃあ言えなくなるまでイかせてあげる」
「ぅあぁ、あぁッ! あぁんッ! や、だぁあ…っ!」

 もはや意地で拒絶し続けた俺は、意識を失うまで犯され続けた。

 それは、この先の長い夜を予感させる、放課後の音楽室でのこと。



end.

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