in 【屋上】 秋山 汐の場合 3 「ん?」 シャッターを切ろうとした途端、冴が後ろを振り向いて、フェンスの向こう側を見下ろした。 「かわいい子、いた?」 「え?」 彼はとても不思議な人間だ。突然過ぎる質問に、汐は戸惑う。 屋上のフェンス、彼の側には校庭で、汐の立ち位置からは見えるはずもない。それに今日は、ラグビー部が全面使用する日だ。可愛い子など、いるはずが。 「な、なんで?」 「だって」 汐が訊ねると、冴はつい、と指を伸ばした。 その先は、汐の、股間。 それも、膨らんでテントを張った状態の、そこ。 (えぇええええッ?!) なんということだ。友人の見えない紫オーラに欲情してしまったようだ。 しかも、それに気付いてなお、そこは萎える気配を見せない。 それどころか。 「だいじょうぶ? ヌいてくる?」 平然と男臭い台詞を吐きながら、てくてくと近付いてくる冴に、更に躯の奥が燃え上がる。 「…ダメみたい…」 「え?」 カメラを置きつつ呟いた言葉に、冴が耳を寄せる。 そんな無防備な彼を、汐は気付けば押し倒していた。 「し、お?」ぱちぱちと瞬きを繰り返す冴に、汐は微笑んだ。 「ちょっと手伝って、冴」 [*前] | [次#] /144 『頂き物』へ / >>TOP |