in 【教室】

伊武 秀一の場合 3



「まさか、セックスでもしてましたか…? 学校の、教室で?」
「ッちがっ…!」

 思わずという様子で、恒太が否定の言葉を口にする。嘘ばっかり。秀一は思わずくすくすと忍び笑いをした。

「そうですか…じゃあこのニオイは、大島くんがひとりで致しちゃったんですか…?」
「ッ!」

 耳まで真っ赤にして絶句する恒太。
 ひとが恥ずかしがる相手を見るのが好きな秀一にとって、今の恒太は実にいたぶり甲斐があった。

「ねぇ…まさか、セックスなんて、してませんよね?」

 言葉巧みに、『最もありえないのは、性行為である』ということを刷り込む。逆に言えば、『自慰行為ならばまだ、許容できる』と思い込ませることだ。
 恒太は震える唇を開く。

「し、してま…せん…」
「そう。じゃあ、ひとりで致しちゃったんですか?」
「…ッ、は、はい…」

 ぎゅう、と瞼を伏せて、恒太が消えそうな声で応じた。

「かわいい…」
「っぁ、」

 ぺろりと耳を舐めてやると、恒太の躯がひくんと震える。同時に、腿が跳ねたのも、秀一は見逃さなかった。
 唾液で濡れた耳に息を吹きかけるようにして、更に囁く。

「可愛い大島くんの、えっちなところ…僕にも見せて下さい」
「っえ?!」


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