in 【教室】 イントロダクション 2 (もしかして、手作り、かな…?) 校長の手作り。微妙だ。 味の方は甘さ控えめで、特筆すべき特徴もなかったが、おいしかった。 「…お、おいしかった、です」 「良かった」 彼はやっぱり笑ったまま、嬉しそうに言った。 もう少し喜んで上げた方が良かったかもしれない、なんて思いながら、恒太は気まずい雰囲気に落ち着かない。 「ハッピー・【クロッカス。・デイ】」 校長は繰り返すと、そのまま踵を返した。 「は、ハッピー・【クロッカス。・デイ】!」 恒太はその背中に声を掛けて見送り、それから教室へと向かい、扉を開けて――。 「あ、」 中にいた人物に、微笑んだ。 「校長、どちらへ?」 「うん。この良き日にたくさん可愛がってもらえる幸せな子達に、先駆けてプレゼントを」 「ああ、今日でしたか」 「そう。たっぷり楽しめるようにね。やっぱりせっかくのフィニッシュに、順番の問題で『出ない』ってのは興ざめだろう? ついでに、大切なトコロで感じられるように、ちょっとね」 「相変わらずド鬼畜のド変態ですね」 「今更だ」 教頭との会話を薄笑いの内に終らせて、校長は彼らに向けてそっと呟く。 「では、3月20日を楽しんで下さい」 [*前] | [次#] /110 『頂き物』へ / >>TOP |