in 【化学室】

小神 うずらの場合 2


 だからうずらは、それを最大限に利用する。

「白衣ってカッコイイよねー。化学教師の特権って感じするよね」
「そんなことは、ない、だろ。…その。赤羽、先生も、着てるし」

 名を呼ばせることで少しずつ崩れ始める真尋の口調。
 そして、うずらは知る。養護教諭である赤羽と真尋の仲が良いことは知っていたが、今の口ぶりでは。

 一瞬目を眇めたうずらは、敢えてにこりと微笑んだ。

「ねぇひろちゃん、ちょっとだけ白衣貸して? 俺も着てみたい」
「え。…まあ、いいけど…特にどうということもないだろ」

 立ち上がって、両肩からすとんと白衣を脱ぐ真尋。『自ら脱ぐ』という行為がどれほどエロティックに写るかなんて、微塵も考えてはいないのだろう。
 同じように隣に立ち上がったうずらはそれにうきうきと袖を通して、満面の笑みで――実験机の上に真尋を押し倒した。

「わっ、な、なに…」
「なにって。もう判るでしょ?」

 胸の上にまで乗りかかるようにして体重をかけながら、首筋を舐めてシャツのボタンを外していく。それが終れば、スラックスのベルトとファスナーを開く。

 当然真尋は暴れようとするが、腰から上だけが机に乗り上げた状態。動けば確実に腰に痛みが走る。顔をしかめてうまく抵抗できない真尋の耳までを舐めながら、下着も脱がせて、ぽいと放り出した。

「う、うずらっ…! 莫迦、なにしてッ!」

 がっちり真尋の膝を股に挟み込んだ状態で身体を起こすと、真尋も慌てて起き上がる。
 そこを狙って、今度はインナーもぐいと脱がせて――どこかでぶちぶちと糸が切れる音がしたが――、それも放り出し、素っ裸にした真尋に、微笑んでみせた。

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