in 【屋上】

椎葉 咲の場合 2


 
「お、おれ、おれ…っ、男と、せっくす、した…ッ」

「…」
 それではただ単にカルチャーショックを受けただけのような印象を受ける。

 襲われた、とか、奪われた、とか、犯された、とか。もっと被害意識のある言葉は選べないのか。

 心の中で少し呆れた咲は、けれど顔には出さず、ペットボトルを差し出した。

「冴、落ち着いて。これ飲んで下さい」
「ひく、ぅ、っうん…」

 与えられたジュースを、疑うこともなく冴は喉に流す。
 その間もしっかりと抱き締めて、黒い柔らかな猫っ毛を撫で続けた。

 がたがた震え続けていた冴の躯に、ヒク、と種類の違う震えが走る。その僅かな動きを、咲は見逃さない。
 薄い笑みを浮かべて、咲は冴の頬をそっと撫でた。

「ん…、」
「んで? どうだった?」
「ふ、ぇ?」

 突然口調が一変した咲を、冴はきょとんとして見上げてくる。

「冴が何も知んねぇから手ぇ出さないでいてやったけど、ヤられちまったんならもう、いいよな?」
「しょ、咲…?」
「男とヤって、どうだったっつってんだよ。なぁ?」

 する、と肌に手を滑らせ、ぷくりと勃ち始めた乳首を撫でた。

「ひゃ、ぁ」
「イイ声。もっと聞かせろよ」
「ゃ、咲…ぁ、やっ…!」

 腕の中の冴を逃さないようにがっちり抱き込みながら、咲は小さな乳首をチロチロと舐める。逆側のそれは、指先で摘まんだり転がしたりして遊ぶ。

 冴は咲のカーディガンを握り締め、顔を真っ赤にしながら懸命に掌底で咲の肩を押すが、媚薬と快感で力が入らないらしい。ただただ咲の愛撫に悶えた。

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