in 【屋上】

黒川 凛の場合 2


 足音を忍ばせて、冴の傍に寄る。近付いてみると、冴の双丘からしっぽのように細いコードが伸びているのが判った。

「ひーらき先輩っ!」
「ッ?! ぁっ?! んぁっ」

 突然の声に、当然冴は飛び上がらんばかりに驚いて、給水塔に背中を預け、服を掻き寄せた。
 にこにこといつものように笑顔を絶やさないまま、凛は怯える彼の前にしゃがみ込んだ。

「なにしてたんスか?」
「ひ、ぅ…っ、ン、ん…っ」

 触れられるほどの距離にまで寄ると、小さくモーター音がした。しっぽの先は受信機になっていて、電源はない。それだけで、調教用の玩具を入れ『られた』ことが推測できた。

 少し安心する。いつも眠そうな表情をして歩く可愛い彼が、屋上でひとり、玩具で自慰しているなんて、興ざめするところだった。

 散々話すことを拒む冴を宥めすかして、結局凛は「騙されてア○ルに玩具を突っ込まれて放置されたので、なんとか抜こうとしていたがうまくいかなくて悶えていた」という話を聞き出した。

 羞恥に頬を染め、ローターの刺激に震えながら語る冴の姿に、すっかり凛のスイッチは入ってしまった。

「じゃあ平木先輩っ、俺が手伝ってあげるッス!」
「ぇっ…ゃ、い、いい、よ…、おれ、ひとり、で」
「まぁまぁ遠慮しないで!」


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