小説 攻side 02 気づくと手には手錠がかけられていて、頬には冷たいコンクリートの感覚、服はいっさい身につけていなかった。 「…ッなんだ、ここは…」 周りを見渡すと、打ちっぱなしのコンクリートの壁と床。 壁にはAVでしか見たことのないようなX字の拘束台や、色とりどりの見た目からして淫靡な大人の玩具。 部屋の真ん中には、この部屋には不釣り合いな、アンティーク調の背もたれがやけに高い、どっかの貴族のお屋敷にありそうな椅子が置かれていた。 そしてそこに、高校生ぐらいの少年が座っていた。 優しい目元にアッシュグレイの髪。見るからに好青年らしい少年は、俺をみるとその整った唇をつり上げて笑った。 「やっと目を覚ました。待ちくたびれたよ。」 「ッ…!!!」 「お兄さん、自分が今どんな状況下にいるか理解できてる?」 「…。」 「お兄さん達は誘拐されたんだよ。俺に。」 「は…?ちょ、ちょっと待て!!"お兄さん達"ってことは…まさか…」 「そう。佐々木裕太さんも、貴方矢野渉さん、と誘拐されたんですよ。」 「なっ…んで」 「理由は特に無いです。強いて言うなら暇潰し。」 ひらひらと二人分の身分証明書を見せる少年から伝えられた真実に、俺は背筋が凍った。 「さて、ここで裕太さんを助ける方法を教えましょうか?」 「は…!?」 いきなり伝えられた希望。 [*前] | [次#] /25 『頂き物』へ / >>TOP |