小説

攻side 01


 
『何でこんなことになってしまったんだ』

俺は顎の疲れと、なれないことをされた精神的疲労にぼうっとした頭で、そんなことを考えた。


―数時間前。大学から帰る途中の暗い道。
久々に飲もうという話になり、親友とコンビニで買ったビールとつまみ、それと冷凍食品、炭酸飲料の入った袋をぶら下げて話しながら帰っていた。

真っ暗で、人気の全くない道。

女の子なら変質者に怯え、びくびくと帰るのだろうが、二十歳越えの男二人。
当たり前に、何の警戒心も抱かずに歩いていた。

だから暗い道の向こうから、白いバンがゆっくりと走ってくるのも気にせず、素通りするはずだった。

「んぐっ!!?ぐ…ッ」
「裕太ッ!?」

いきなりバンのドアが開き、男が三人飛び出してきたかと思うと、親友の口元にハンカチを当てる。
俺も男だし、よくAVとかで見るからそのハンカチがどんなものか分からないわけではない。

(クロロフォルムだ…ッ)

本能的に危険を察知し、大声を出そうと口を開けた瞬間、

「…ッん、ぐ、…ぅ」

白いハンカチか俺の顔を覆った。
そして俺は意識がぼやけていくのを、思考の止まった脳内で感じた。


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