混濁 07 くちゅ、くちゅ、という水音が、どこか遠くで聞こえる。ヌルヌルするものが舌に擦りつけられて、口の中が熱い唾液で溢れて、銀糸が垂れる。 ──わけ、わかんね…。 ヴィン、ヴィン、ヴィン… これはなんだ。 なにをされているんだ。 すぐ傍で、橘が笑う気配がした。 「気持ちいいと、言ってごらん?」 「っふ、ぁ…っあ、あ…っ、あ…っ」 ぐりん、ぐりん、ぐりん、とナカを掻き回され続けて、遊糸の瞳から理性が消える。 真っ白になった頭の中に浮かぶのは、『嫌だ』という気持ちと、『恐い』という本能と、『逆らってはいけない』という使命感のみ。 するすると橘の手が首筋から胸、腹へと滑り、遊糸の萎えたままの花芯を包んで扱く。 ぞくぞくと下半身から全身に広がる、甘い痺れ。 「ぅあっ、ぁ…っ」 「言ってごらん、遊糸。気持ちいい、って」 嫌だ。 恐い。 「ひゃっ、…あ、だ…っあ、あっ…あぁっ」 けれど、逆らっては、いけない。 「ぁ、んむ…っ」 口内を満たす唾液を懸命に飲み下して、遊糸は橘のシャツに顔をうずめた。 「ゃ、あ…っあっ…、き…ち、ぃ…」 「もう一度」 穏やかに、優しく、橘が促す。 熱い躯の中を無機質なものが際限なく刺激し、花芯は確実に快感を与えるポイントを入念に扱かれ、そして拒絶は許されない。 濡れた遊糸の唇が動く。 「ぁ…っ、ぁ、きもち、い…ッ」 「いい具合にトロトロになってきたね…」 [*前] | [次#] 『カゲロウ』目次へ / 品書へ |