混濁

03



「ッなわけっ…! ッは! ぁん…っ!」

 反駁しようとした途端、橘の指がツプリと蕾を押し開く。突然躯の内側に触られて、遊糸は思わず情けない嬌声を上げてしまった。
 かあ、と顔が熱くなるが、ナカを探るように指を曲げられると、ピクンと腰が跳ね上がる。

「ひぅ…っ、ン、ゃ、あ…っ」
 くちゅ、くちゅ、くちゅ、

 指を抜き挿しする速度が徐々に上がり、与えられるピストンの動きに遊糸は翻弄されて喘ぐ。

「ひッ、は…っ、ぁっ、や、あっ、あっ」

 自然と呼吸が荒くなり、口を開くと声が漏れる。
 指はすっかり根元まで入っているようで、その骨ばった感触と他人の体温を躯の奥に感じる異常に、遊糸はどうしても慣れない。

 ちゅぽ、と、突然指が抜かれて、「ッは…っ、ぁ…っ」遊糸は脱力した。いつの間にか涙が滲んでいて、瞬きすると頬に流れる。

「気持ち良かったかな? 遊糸」
「は…、はぁ…っ」

 いいわけがない。そう言いたいのは山々だったが、余計な口は利かない方が無難だ。
 橘は遊糸の内心など気にする風もなく、ダンボールの中に手を突っ込む。がちゃりとまた遊糸を震わせる音がして、恐る恐る振り向いた遊糸の目に、橘が取り上げた、男性器を象った性玩具が映った。さすがにそれは、遊糸でも判る。バイブ、だ。

 さぁ、と目に見えて青褪める遊糸に、橘は場違いなほど穏やかな笑みを向けた。

「大丈夫、これでもだいぶ細い方だからね。父さんは焦らないから。ゆっくり14年を埋めて行こうな…?」


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