悔恨と懐古

06


 遊糸が言葉を失っていると、橘はゆっくりと立ち上がった。「遊糸」距離を詰められて、遊糸の身体は一気に硬直する。

「自分で脱げるようになるまでは、脱がせてあげよう。だけど、次からはちゃんと『お願い』するんだよ」

 バックルに手が掛かる。酷く緩慢な動作で、脱がされていく。
 声も出ない。ただこの異常に、遊糸は懸命に耐えた。
 淡々と橘は作業を進め、あっさりと下着をずり下ろす。

「ッ!」

 花芯が露わになって、遊糸は咄嗟に隠そうとする。が、もちろんその手は阻まれた。
 がしりと遊糸の手首を掴んだ橘は、まじまじとそこを観察する。かぁあ、と顔に熱が上がってくるのを遊糸は感じた。

 ふと、橘が顔を上げた。どこか嬉しそうに笑う。

「いいことを思いついた、遊糸」
「…ッ? な、なに…っ」

 橘は素早く遊糸のスラックスや下着を完全に脱がせると、そのまま腕を引っ張って歩き出した。
 室内とは言えど、下半身を晒したまま移動することに遊糸はうろたえた。

──恥ずかしい…っ。

 橘が遊糸の手を引いて向かったのは、浴室だった。ぎくり、と遊糸は足を止める。
 だが当然のように抵抗は認められず、そのまま連れ込まれた。そして、下半身をシャワーでしとどに濡らされる。

「な、な、なにを…っ」


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